保護者なしの卒業式、でも「感謝」 マスク姿で出席、生徒同士で記念撮影

感染防止のため、卒業生の椅子の間隔を空け、保護者は入れずに行われた卒業式=横須賀市立大津中学校提供

 横須賀市立中学校23校で11日、卒業式が行われた。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、保護者の参加を認めず、規模を縮小しながらの式となったが、教職員らが計3203人の門出を祝った。

 市立大津中学校(同市大津町5丁目)では、3年生244人が式に臨んだ。同校によると、感染防止のため、卒業生が座る椅子の間隔を前後1.6メートル、左右40センチ程度離して並べ、全員マスクを着用して実施。保護者が出席できないため、生徒にはカメラ持参を認め、生徒同士で撮影できる時間を設けた。壇上で卒業証書を受け取る場面は教職員が卒業生一人一人を撮影し、写真を渡したという。

 三橋政義校長は式後、神奈川新聞社の取材に対し「生徒や保護者、地域の方々、教職員の思いがあり、何とか式だけはやりたかった。市内に感染が広がらずできたことはよかった。生徒も最高の卒業式にしようという気持ちが感じられた」と感激していた。

 卒業生で生徒会長の萩原康仁さん(15)は、3日から臨時休校して迎えた卒業式に「久々に友達とわいわいできて楽しかった。保護者がいない分、体育館が空いていたと感じた」と話した一方、「こんな状況でも送り出してもらえて感謝している。高校へ行っても充実した生活を送りたい」と笑顔で学びやを後にした。

 保護者が参加できないことについて、同市教育委員会の新倉聡教育長は「申し訳ない。子どもの晴れの姿を見たかった保護者の気持ちを考えると本当に心苦しい」と述べ、式の縮小に理解を求めた。

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