ロッテに“鳥フィーバー”発生の予感 鳥谷も驚き「練習してるだけなんだから…」

ベンチ入りしたロッテ・鳥谷敬(右)【写真:宮脇広久】

新型コロナで開幕延期も鳥谷にとっては追い風? 17日巨人で実戦デビューへ

 ロッテ入りした前阪神の鳥谷敬内野手が2軍に合流した12日、2軍本拠地のロッテ浦和球場には報道陣30人超が殺到。早くも“鳥フィーバー”発生の予感が漂っている。人気球団・阪神のスター選手としてメディアに追いかけられるのは慣れっこのはずの鳥谷本人も思わず「練習してるだけなんだから、こんなに人、来なくていいよ…」と苦笑したほどだ。

 鳥谷はこの日の楽天2軍戦の試合前、ナインとともに練習用ウェア姿でノックなどをこなし、試合にもベンチ入りしたが、出場はせず。ジャンパーの下の背番号「00」の新ユニホームを見せることもなかった。ひょっとしたらユニホームの上着は着ていないのではないかとも思われたが、本人に質すと、「着てますよ! 試合に行ってるんですから」と、ひらっとジャンパーの裾をめくって見せた。

 このあたりは、親しい球界関係者が「非常に折り目正しい。出場するつもりがなかったとしても、中途半端な服装でベンチに入るような男ではない」と証言する通りだ。ともかく、この日の時点で、公の場での新ユニホーム姿の御披露目はまだ、屋外フリー打撃もまだで、メディアに大きく扱われる節目はいくらでも残っている。

 そんな中、1軍の井口監督はこの日、鳥谷を17日の巨人2軍戦(ロッテ浦和)で“実戦デビュー”させる方針を明かした。相手も阿部慎之助新監督の就任で注目されている巨人2軍とあって、これまたメディアが殺到するのは確実だ。

開幕が4月10日以降に決定、実戦感覚を取り戻せば1軍も時間の問題か

 鳥谷は阪神を自由契約になった後も、イチロー氏、元中日の山本昌氏、岩瀬仁紀氏らの現役生活を支えたことで知られる鳥取市のトレーニング研究施設「ワールドウィング」などで自主トレを行ってきた。「体はしっかりできています」と井口監督に申告したというだけあって、確かに動きはいい。2軍戦に出場し始めれば、1軍昇格にもそれほど時間はかからないかもしれない。

 今年のロッテはもともと、最速163キロルーキー・佐々木朗希投手の入団で俄然注目度アップ。しかし、今のところ佐々木がブルペン投球の段階にとどまり、まだ打者相手に投げていないこともあって、ここ数日は鳥谷に注がれる視線は佐々木を上回っている。今後は相乗効果も期待できる。

 鳥谷の入団決定は、本来公式戦開幕10日前だったはずの今月10日だった。ところが、新型コロナウイルスの感染拡大で開幕は4月10日以降になることが決定した。鳥谷は開幕までに、試合勘を取り戻し、新天地に馴染む時間を取れるのだから、追い風といえるだろう。

 1軍で出場機会を確保できれば、古巣・阪神との交流戦3連戦(5月26日~28日予定・甲子園)などはビッグイベントになるはず。あれよあれよという間に、鳥谷が今季の球界の主役に躍り出るかもしれない。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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