ワンコインお好み焼き 休校中の家庭に提供「保護者の負担軽減に」

「保護者の負担軽減につながれば」と来店を呼び掛ける岩﨑さん=川崎市幸区

 新型コロナウイルスの影響で臨時休校になり、子どもに食事が用意できない家庭を支援しようと、川崎市幸区のお好み焼き店が立ち上がった。通常1298円のお好み焼きを、3月いっぱいの平日はワンコイン500円で提供する。自身も中学生の長男がいる店主は「困っている家庭がたくさんある。地域のためにできることをしたい」と力を込める。

 取り組みを始めたのは、同区南加瀬に店を構えるお好み焼きやもんじゃ焼きのレストラン「ぽんぽこ本゜舗(ぽんぽ)」。エビやイカ、豚肉など具だくさんの看板メニュー「ミックスお好み焼き」を、平日の持ち帰り限定で格安販売している。1家族につき1回限り2枚まで。

 「保護者の方の負担軽減につながれば」とは、店主の岩﨑靖史さん(44)。2月27日夜、政府は全国の小中高校などを臨時休校にするよう要請し、翌日には市が全市立学校の休校を決めた。「給食がなくなり、家庭は大変だ」と、その日のうちに支援策を考え、パソコンでチラシを作った。

 店は2011年にオープン。地域密着の経営方針で近隣住民らに愛されてきた。周辺には夢見ケ崎小、南加瀬小、小倉小など複数の学校があり、連日多くの家族連れでにぎわっている。「地域の皆さんに支えられてきた。何かできることはないか」との思いが、岩﨑さんを突き動かした。

 岩﨑さんにも卒業を迎えた中学3年の長男がおり、「学校からメールが来て、本当に休校するんだなと思った」。卒業式は3月11日に行われ、店をスタッフに任せて夫婦で出席したが、「そもそも保護者が出席できるかどうか、直前まで分からず心配だった」。休校を発表した週末は、客は通常の7割程度に減ったという。

 近隣の家庭5300軒にチラシを配布。市立学校が休校開始となった4日から始めた。初日は14組が来店し、保護者たちが感謝の言葉を伝えたほか、孫へのお土産にと買い求める人の姿もあった。岩﨑さんは「子どもはずっと家にこもることになりかわいそう。お好み焼きで少しでも楽しみを与えられたらうれしい」と話している。

 営業時間は平日午前11時~午後2時、同5~10時。16日は休業。土・日曜も営業するが、休校に伴う値引きは平日のみ。調理に30分ほどかかるため、事前の電話連絡が必要。問い合わせは、同店電話044(201)9132。

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