世界に羽ばたく演奏家育てたい 長崎サクソフォンアンサンブル代表・方波見一真さん

「サックスのさまざまな可能性を追求したい」と話す方波見さん=長崎新聞社

 「長崎独自のサックス文化を創造し、地域活性化に貢献したい」。そんな思いからクラシックの若手演奏家や音大生でつくる団体「長崎サクソフォンアンサンブル」をこのほど発足させた。
 茨城県鉾田市出身。6歳でピアノを習い始め、中学生の時、吹奏楽部でサックスと出合った。入部の動機は「当時、憧れていた女子が先輩部員でいてドラムをたたいていたから」。
 やがて表現力豊かなサックスの音色に魅了され、地元の高校に進学後も吹奏楽部で腕を磨いた。東海大教養学部(神奈川)に入学し、音楽学課程を首席で卒業。プロの演奏家として活動を始める。「実家の畜産業を継ぐ選択肢もあったが、音楽家としての夢を追った。サックスだけで食べていくのは大変で、アルバイトをしながら生活した」
 そのうち、兵庫県淡路島の芸術家育成プロジェクトに参加。そこで世界的バイオリニスト森悠子さんに出会う。森さんが主宰する長岡京室内アンサンブルなどの活動に触れ、音大生や若手演奏家が継続して音楽を学び、研さんする場の必要性を実感した。思いを森さんに打ち明けると「あなたがサックスでやればいい」とひと言。これが原動力となった。
 2016年、仕事の都合で長崎市に移住。教会や寺が点在し、異文化交流の歴史を感じる町並みが気に入った。「美しい夜景が見られるなど音楽的な感覚を触発される場所が多い。音楽団体を立ち上げるのに理想的な場所だと感じた」
 19年、知人のプロ演奏家や音大生ら計4人に声を掛け、団体発足の目星が付いた。近く県内で旗揚げ公演を開く予定。
 「長崎には『でんでらりゅうば』など魅力的な楽曲がたくさんある。夜景や祭り、教会群などを題材にしたサックスのレパートリーを制作、発信しながら世界に羽ばたく実力を持つ演奏家を育てたい」

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