川崎市の水門閉鎖見送り判断「やむを得ず」 台風19号めぐり、川崎市検証委

台風19号による浸水被害の原因について話し合われた検証委員会=川崎市役所

 昨年10月の台風19号による浸水被害を受け、川崎市の検証委員会の第3回会合が13日、開かれた。多摩川の水が排水管を逆流して市街地にあふれ出たケースについて、排水管の水門の閉鎖措置を見送った市の判断の妥当性を検証。市は、閉門した場合でも内水による浸水が避けられなかったとするシミュレーション結果を報告し、台風襲来時の市の判断を「やむを得なかった」とした。

 逆流現象が確認された水門は5カ所。シミュレーションによると、このうち山王(中原区)では、水門を閉鎖した場合の方が浸水規模が減少することが分かった。しかし、気象予報通りの降雨量では広範囲に浸水が生じるため、内水氾濫の危険を考慮した判断はやむを得ないとした。他の4カ所は、水門を閉鎖しても雨水が滞留して浸水が発生するとされた。

 市は今後、複数の学識経験者の意見を聴いた上で、シミュレーション結果などを反映させた最終的な検証結果をまとめる。検証結果の報告は当初3月末としていたが、4月上旬にずれ込むことも決まった。

 被災市民らでつくる「台風19号 多摩川水害を考える川崎の会」の川﨑和輝さんは検証委の傍聴後「シミュレーションは前提となる数値の合理性に乏しく、結論ありきで全く納得できない」と怒りをあらわにした。

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