見た目も走りも超絶スーパー、3000万円超の絶対的な価値。ランボルギーニ・ウラカンEVO/最新スーパースポーツカー試乗レポート

 驚くべき速さと、目を見張る美しさ。スーパースポーツカーは、このふたつの要素を兼ね備えた特別な存在だ。『オートスポーツweb 最新スーパースポーツカー試乗レポート』では、クルマ好きなら誰もが憧れる数々の至高のマシンの中から注目の1台をピックアップして、その走りの印象を伝えていきます。
 
 ハンドルを握るのは、モータージャーナリストの吉田拓生さん。第5回目は、『ランボルギーニ・ウラカンEVO』を取り上げます。

* * * * * * *

■佇む姿も排気音も、すべてが凡百のクルマとは違うスーパースポーツ

 実はドアが上方向ではなく横方向に開くのだが、それでももう、どこからどう見てもランボルギーニなのである。現在のランボルギーニは、ベーシックな『ウラカン』と、旗艦の『アヴェンタドール』、そしてSUVの『ウルス』というラインアップが揃っている。

 今回、試乗レポートをお届けする『ウラカンEVO』は、2014年にデビューした『ウラカン』のモデルライフ半ばのマイナーチェンジ版のような意味合いを持っている。

 マイナーチェンジを人知れずシレ~っと行うか、「EVO!」と銘打ってアピールするか、そこはブランドの気質のようなもの。ランボルギーニともなれば、スーパーカーを代表するブランドなので、そりゃあ大きく出て当然なのである。

 ではランボルギーニはどこがどうスーパーなのか? それはもう、そのすべてである。V型10気筒エンジンを呼び覚ますスターターボタンは、ミサイルの発射スイッチよろしくガードが付いているので、押すためにはそのガードを跳ね上げてから行う。

 そんな所作の逐一に、凡百のクルマとは違うスーパー感が込められている。スタート直後の排気音は、周囲の人をいっせいに振り向かせるくらい盛大だが、それを咎める人はいない。赤ちゃんが所かまわず泣くように、スーパーカーとは吠えて当然なクルマなのである。

 とはいえ現代のランボルギーニは、昨日AT免許を取得した初心者ドライバーでも運転できる部分がミソだ。

 昔の『カウンタック』のように重いクラッチも存在しないし、着座位置が低すぎて視界不良、ステアリングが遠すぎる、といった妙な癖もない。

 コーナーセンサーやバックカメラといった運転支援装備も充実しているので、前後バンパースポイラーの低ささえ頭に入れておけば、普通に運転できてしまう。

『ウラカンEVO』にはV型10気筒エンジンが搭載されている
ウラカンEVOのインテリア
ウラカンEVOのリヤスタイル

■640psエンジン+4駆で一気に300km/hオーバーの世界に突入する(……ハズ)

『ウラカン』から『ウラカンEVO』になったことで、5.2リッターのV型10気筒エンジンの最高出力は610psから640psになっている。その差は体感しにくいが、そもそも600psオーバーが圧倒的であることは間違いない。

 そのパワーを7速デュアルクラッチAT、4駆のパワートレインで継投し、一気に300km/hオーバーの世界に突入する(……ハズだ)。

 コーナリングに関しても4輪のベクタリング機能によって「こんなスピードじゃ曲がれないだろう!」という速度域でもグイグイと曲がれてしまう。現代のランボルギーニは見た目だけじゃなく、走りも超絶スーパーなのである。

 一方、『ウラカンEVO』に乗って、銀座あたりに繰り出せば、交差点で止まるたびにみんながスマホを向けてきて、ちょっとした有名人の気分が味わえる。

 カタチ、走り、そして周囲にチヤホヤされることまで含めて楽しめるのであれば、3000万円オーバーの価格も高くはないと思う。

2020年1月に日本初お披露目されたばかりのランボルギーニの最新モデル『ウラカン EVO RWD』。4WDモデルの『ウラカンEVO』を後輪駆動にしたモデル。デリバリーは2020年春以降を予定している
『ウラカンEVO RWD』のコクピット

■ランボルギーニ・ウラカンEVO諸元

車体

全長×全幅×全高 4520mm×1933mm×1165mm

ホイールベース 2620mm

車両重量 1422kg

駆動方式 AWD

トランスミッション 7速DCT

サスペンション前/後 ダブルウイッシュボーン

ブレーキ 前/後 ベンチレーテッドディスク

タイヤサイズ  前/後 245/30R20、305/30R20

エンジン種類 V型10気筒DOHC

総排気量 5204cc

最高出力 470kW(640ps)/8000rpm

最大トルク 600Nm(61.2kgm)/6500rpm

最高速度 325km/h

車両本体価格 3282万7601円

■Profile 吉田拓生 Takuo Yoshida

自動車雑誌の編集部を経て、2005年からフリーのモータージャーナリストとして活動をスタート。自動車、ヨット、英国製品に関する文章を執筆。現代のスポーツカーをはじめ、1970年以前のヒストリックカー、ヴィンテージ、そしてレーシングカーの試乗レポートを得意としている。

© 株式会社三栄