サービス付き高齢者向け住宅事業の新日本通産(株)がサブリース賃料の未払いにより破産を申し立てられる

新日本通産(株)(TSR企業コード:340148047、法人番号:2090001003108、甲府市落合町568-5、設立1988(昭和63)年9月、資本金2000万円、三村修社長)は3月16日、債権者から甲府地裁に破産を申し立てられた。申請代理人は河合弘之弁護士(さくら共同法律事務所、東京都千代田区内幸町1-1-7、電話03-5511-4400)。

 設立当初は、住宅・アパート建築、不動産業を主な業務としていたが、大手との競合激化等でアパート建築が伸び悩むなか、2007年からサービス付き高齢者向け住宅事業に進出した。土地所有者(オーナー)から高齢者住宅の建築を請け負うとともに、25~36年程度のサブリース契約を締結するビジネスを展開。2011年に第一号施設を甲府市内に開設し、さらに居宅介護や訪問介護、ショートステイなど介護事業にも本格的に参入した。2014年の福井を皮切りに静岡、埼玉など県外にも展開し、一時期はサービス付き高齢者向けアパート、ショートステイなど県内外で37施設を構え、山梨ではトップの実績を誇っていた。
 高齢者向けアパートの建築と介護事業をセットとするビジネスモデルで急成長し、2018年8月期にはピークとなる売上高約29億3000万円をあげるなど、ここ5年で売上高は倍増していた。しかし、事業の急拡大による介護スタッフの増員などで固定費が急増し資金繰りは多忙化。2018年末には取引先への支払いが滞り、さらに2019年には介護スタッフへの「介護職員処遇改善加算」の未払い、サービス付高齢者住宅のオーナーへの賃料の延滞等も発覚していた。
 2018年末に関連会社3社を設立し、サービス付き高齢者向け住宅事業、介護事業を(株)ケアステーション新日本(TSR企業コード:130056693、法人番号:1090001015855、甲府市)、ショートステイ事業を(株)ショート新日本(TSR企業コード:130056626、法人番号:2090001015854、甲府市)、不動産事業を(株)JRC(TSR企業コード:130056758、法人番号:3090001015853、中巨摩郡昭和町)へ移管し、当社は業容を縮小し、建築と在庫不動産の販売にシフトした。
 こうした状況のなか、サービス付き高齢者向け住宅のオーナーらが当社に対し、未払い賃料の支払いと建物の明け渡しを求め甲府地裁に提訴するとともに、破産を申し立てた。なお、関連3社に対しては未払い賃料の提訴のみで破産の申し立てはなされていない。

© 株式会社東京商工リサーチ