【解説】今こそ「長崎に全力」を

 半年後に誕生する「十八親和銀行」の顔が決まった。同規模のライバル行同士の合併だけに注目された頭取ポストには、十八銀行の森拓二郎氏。県庁所在地で人口規模が大きい長崎市の十八銀本店に新銀行本店を置くように「据わりが良い」(FFG幹部)判断といえる。
 とはいえ、県北の中心・佐世保市をないがしろにはできない。親和銀行の吉澤俊介氏は代表権のある会長として業務も一定担う。会見で吉澤氏は「森さんは人当たりが柔らかく、私は直感で動く。いいコンビだ」と強調。実質的な双頭体制を敷くことで地域の理解を得たい意図がにじむ。
 一方で、人口減少による市場縮小やマイナス金利など取り巻く環境は厳しい。FFGのノウハウや情報網をバックに県内で圧倒的なシェアを握るようになる新銀行であっても、決して安穏とはしていられない。
 折しも新型コロナウイルスが県内経済をむしばみ、中小零細企業の悲鳴が聞こえる。両行は合併やシステム統合の準備をできる限り前倒しして不測の事態に備えるとともに、統合効果を早期に発揮し経済を支える使命を担う。「長崎に全力」を傾ける新銀行の真価が問われている。

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