ママは輝く花売り娘 母子家庭自立へ雇用の場

 母子家庭が自立できる環境を整えようと、シングルマザーによる花の配達サービスが横浜市内で始まった。シングルマザーの荒木香津代さん(50)=同市瀬谷区=を中心に、女性の雇用促進を目指す会社を立ち上げた。荒木さんは「しっかりと給料をもらい、母親として自信が持てる職場にしたい」と意気込んでいる。

 「お花を飾ると元気が出ますよ」。15日、同市中区のオフィス街で、ブライトマザーと呼ばれる女性スタッフが千株の菜の花を配り歩いた。鮮やかな黄色に通行人の顔がほころぶ。荒木さんは「イメージは街の花売り娘。母親らしい柔らかさで皆さんが話を聞いてくれる」と手応えを語る。

 「エフブライト」(同市西区)で働くシングルマザーは現在4人。契約先へ旬の花を届けつつ、飲食店やオフィスに飛び込み生花の定期配達を勧める。勤務は平日午前10時〜午後5時が基本だが、いつでも休めるよう顧客情報を常にシステムで共有。2児の母(27)は「子どもが熱の時に『片付けなくていいからすぐ帰って』と。前の職場より安心して働ける」と話す。

 荒木さんは企業勤めのころ、子育て中の女性正社員に対する「言葉にならない重圧」を経験した。周りにもシングルになった事情や社会から離れたことで自信をなくした母親が多く、何とかしたいという思いから経営計画を練り上げ、昨年11月にサービスを始めた。

 同市によると、市内の母子家庭は約2万4千世帯(2010年時点)で増加傾向にあるという。荒木さんらは15日、女性の社会進出支援に力を入れる同市の柏崎誠副市長の元を訪れ、取り組みを報告した。

 配達は月1万円(税別)からで対象エリアは同市中・西区内。まずは100カ所の定期契約を目標に、将来的には清掃用具など品目を広げるほか、フランチャイズ展開や従業員の独立も目指す方針だ。荒木さんは「シングルマザーという響きは暗くなりがち。母親が輝いて働けるような環境づくりに努めたい」と強調した。

 17日午前10時から新本牧公園(同市中区)前で菜の花を無償で配る。500本限定。問い合わせは同社電話045(681)8787。

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