人はいつか死ぬ…いざというときのために知っておくべきこと

TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。3月12日(木)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、ジャーナリストの長友佐波子さんが“人が死ぬこと”について述べました。

◆死ぬ前に考えておくべきこと

60歳以上の親がいる人の約57%が、人生の終わりに備える「終活」について親と話し合った経験がないことが民間の調査でわかりました。話題にしにくいとの回答が目立ち、必要性を感じていてもきっかけ作りに悩む人が多いようです。

一般的に"死”の瞬間のイメージは「ガクッと息絶える感じ」と思われがちですが、実際は「緩やかに生命活動が閉じていく」と長友さん。それだけに亡くなった瞬間というのはわかりにくく、そばで見ていると死が近いのかどうかもわからなかったりすると言います。そのため、「死が目の前に近づく前に考えておいたほうがいいことはいっぱいある」と長友さんは父親を看取った経験から説明します。

日本では1976年ごろに自宅よりも病院で亡くなる方が増え、現在その割合は約75%。そのため「死に触れる機会がないのであまり考えることがない」と長友さんは言い、そこで死の前にはどういったことが起こるのか紹介します。

「亡くなる前はいろいろなサインが出てくる」そうで、例えば「食事量が同じでも体重が落ちる」。2割落ちたら、それは余命半年のサインと言われているそう。なぜなら体が再生産されず、食事を吸収できずにそのまま排泄されてしまうから。そして、数日前になると「食欲が極端に減ったり、尿の量が減ったり、眠る時間が多くなる」と言い、前日ぐらいからは「血中酸素濃度が下がったり、血圧が下がったり、点滴が入らなくなったりする」と長友さん。そうなると家族はつい救急車を呼んでしまいがちですが、「考えておかないといけないのは、救急車を呼ぶと必ず延命治療されてしまうこと」と注意を促します。

延命治療とは、例えば栄養面で一番軽いのが点滴。次に経鼻チューブで、最近では埋め込み型ポートというのもあり、胸からポートを入れ、そこから栄養を投与します。これは手術後などには有効なものの「これから死を迎えるときに、わざわざそんなことが必要なのか」と長友さんは懐疑的。

そして、最期の瞬間はと言うと「呼吸が荒くなり、その後穏やかになって息を引き取る。最後は枯れるように亡くなる」と長友さん。なお、医者を呼ぶのは死亡後しばらくしてからでも構わず、医者が死亡を確認した時間が死亡時刻となり、死亡診断書が用意されるそうです。

人の死について考えたい人に向け長友さんは「日本尊厳死協会」を紹介。Webサイトにはさまざまな情報が掲載されていると同時に、万が一のときにどこまで延命治療をして欲しいかを明記しておく「リビングウイル」の雛形などもあり、「自分なら、家族ならどこまでやってもらうか、ぜひ元気のうちに考えておいていただきたい」と訴えていました。

慶応大学特任准教授でプロデューサーの若新雄純さんは、自宅で看取ることが少なくなり「子どもたちが生き死にについて学ぶ機会がなくなった」と指摘。さらには、「死ぬこととセットで生きることの実感が持てる。そういう研究もあるぐらいなので最期の対話の時間は持つべき」と言いつつ、自身の経験から「人が死ぬことは実はやっかいなこと。でも、そのやっかいさに付き合うことが必要。自分もいつかそうなるわけだから」と述べていました。

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<番組概要>
番組名:モーニングCROSS
放送日時:毎週月~金曜 7:00~7:59 「エムキャス」でも同時配信
レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/
番組Twitter:@morning_cross

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