オーストラリア出身の元F1チャンピオンであるアラン・ジョーンズは、2020年F1オーストラリアGPが中止に追い込まれるような出来事は誰にも予見できなかったと述べている。
1980年にウイリアムズでF1世界選手権を制したジョーンズは、オーストラリアの『Channel 10』解説チームの一員であり、F1のシーズン開幕戦が突如として中止される様子を、現地のアルバートパークで目撃していた。
12回のF1優勝経験を持つジョーンズは、レース開催を支持していたうちのひとりであり、突然の情勢の変化に大きく落胆したことを認めた。
「私としてはとにかくレース開催を進めたかった。だが、ああいう場合、物事全体を思慮深く扱わなければならない」とジョーンズは『The Guardian』に語った。
「『Channel 10』の解説をするにあたって、我々は何が起きているのかを観察しつつ、すべての出来事を把握していなければならなかった。金曜日の直前まで、我々は皆すべてをコントロールできると考えていた」
「きっかけとなったのはマクラーレンだった。あの件が導火線に火をつけたのだ」
「これはオーストラリアのスポーツにとって大きな衝撃だ。他の州や海外から人々がやって来ていた。金曜日に、遠くイングランドからここまで飛んできたという人と話をした。本当に気の毒だ」
オーストラリアGP直前の木曜、マクラーレンのチームメンバーが検査でコロナウイルス陽性であることがわかり、F1パドックにおける“第1号の患者”が出たことから、流れが変わった。
それでもジョーンズは、F1がオーストラリアまで来て開幕戦を開催しようとしたことは正しかったと考えている。
「今になってから言えることを言っても仕方がない」とジョーンズは付け加えた。
「彼らがここに来たことを責めることはできない。状況が加速的に進むことを誰も予見していなかったのだと思う」
「彼らは状況を乗り越え、やり遂げられると思っていたのだろう。グランプリの5日前には、MCG(メルボルン・クリケット・グラウンド)のT20最終戦を86,000人の観客が見ていたことを念頭に置くべきだ。アルバートパークのようなオープンスペースよりもさらに過密な空間だった」
オーストラリアGPが中止になり、序盤7戦の中止か延期が確定、F1は2020年カレンダーを再構成することを迫られている。
ジョーンズは、F1スケジュールが非常に過密ということもあり、オーストラリアGPが今年復活することはないと予想している。
「私の個人的な意見だが、彼らは今年のうちにオーストラリアGPを再度開催することはできないだろう」と73歳のジョーンズは語った。
「私が賭けをするならば、再開しない方に賭けるよう忠告するよ」