喫煙ルールの厳守を

 たばこが「百害あって一利なし」と言われて久しい。発がん性物質や依存性のあるニコチンなどを含んでいるので健康面への「百害」は確かなのだろうが、「一利なし」には多少の異論がある▲かつて記者として詰めていた県庁、市役所などの喫煙所は大事な取材現場だった。同じ喫煙者という“身内意識”からか、気を許した職員たちから貴重な情報を何度か耳打ちしてもらったことがある。少なくとも個人的には「一利」はあった▲そんな行政機関も昨年7月の改正健康増進法の一部施行で、病院や学校などと共に敷地内が原則禁煙に。受動喫煙が原因の死者が年1万5千人とも言われていることを踏まえれば当然のことだろう▲受動喫煙対策は4月から、さらに強化される。改正法の全面施行で民間の事業所や工場、ホテル、飲食店といった各種屋内施設にも原則禁煙が義務化され、悪質な違反者には罰則もある▲課題も残る。飲食店の半数以上を占めるとされる客席100平方メートル以下の小規模既存店は経過措置として「喫煙店」も選択でき、受動喫煙の温床になるとの指摘もある▲非喫煙者と同じ空間での喫煙は、法の趣旨からも絶対に慎むべきだろう。愛煙家の皆さん、まずは禁煙、それが無理ならルールの厳守、そしてマナーの徹底を。自戒も込めて。(真)


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