前校長の遺影に見守られ卒業式 がん闘病しながら出勤「諦めない心」教えてくれた

卒業式の職員席に置かれた宇佐前校長の遺影(草津市野路9丁目・玉川小)

 2月に当時の宇佐恒浩校長が病気で亡くなった滋賀県草津市野路9丁目の玉川小で19日、卒業式があった。卒業生98人が前校長の遺影に見守られながら母校を巣立った。

 宇佐前校長は同小赴任直後の2018年5月に肺がんが発覚した。闘病しながら今年1月20日まで出勤し、その後は自宅で療養していたが、2月1日に59歳で亡くなった。
 3月1日に同小教頭から昇任した小野澤祐子校長によると、宇佐前校長は「子どもたちの笑顔を見るのが楽しみ」とよく話し、昨秋まで授業中の様子を写真に撮って学校ホームページに掲載したり、校門前に毎朝立ち登校する児童にあいさつしたりしていたという。
 卒業式では職員席に宇佐前校長の遺影が置かれ、小野澤校長が式辞で「宇佐校長は病気になっても懸命に仕事し、諦めない気持ちを教えてくれた」と振り返った。
 女子児童(12)は「新型コロナウイルスの影響があるのに卒業式が開かれたのはうれしいけれど、宇佐先生が元気で、あいさつをしてくれたらもっと良かった」と話した。

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