スポーツ大会自粛 新年度も どうなる県高校春季戦

 新型コロナウイルス問題の長期化に伴い、新年度の県内スポーツ界にも影響が出始めた。今年で第44回を数える4月の長崎招待ラグビーは史上初の中止を決断。高校野球も春の九州地区大会が延期となり、3月下旬に開幕予定だった長崎県予選を1カ月遅らせた。長崎県教委は20日、公立校の部活動再開を認めるなど明るい兆しも見えてきたが、大会参加や対外試合などは依然、認められていない。さらなる影響拡大も懸念されている。

 ■安全を最優先

 長崎招待ラグビーは1977年から開催。今回は大学日本一の早大をはじめ、トップ選手のプレーを地元で見られる貴重な機会になる予定だった。2019年ワールドカップ(W杯)後初の開催で、例年以上の盛り上がりを期待していただけに、長崎県ラグビー協会の松本浩理事長は「選手たちの安全を最優先した苦渋の決断だった」と肩を落とした。
 高校野球の九州地区大会県予選は3月下旬開幕の予定が4~5月に延期。ある県立校の監督は「ゴールデンウイーク中に強豪校と練習試合をする重要な遠征を考えていた。チームづくりのプランが崩れてしまった」と打ち明ける。無事に開催されたとしても、しわ寄せで7月の全国高校野球県大会まで息をつく間もなく公式戦が組まれる。過密日程をどう乗り切るか、各チームが頭を悩ませている。

 ■選手のために

 スポーツ大会はJリーグの公式戦中断を皮切りに、2月末から約1カ月にわたって大会の中止や規模縮小が続いている。高校スポーツ界も3月に予定していた高体連共催の全国高校選抜大会全21競技が中止になった。ただ、感染拡大が抑制されている地域は自粛規制が緩和されてきており、近く大会が解禁される可能性もある。
 長崎県内でも4月半ばから、各競技で県高総体の前哨戦となる春季選手権が続々と控えている。多くのチームが現在の力を測る上で重視している大会なだけに、大多数の意見は「何とかしてやりたい」だ。政府や県の判断が注目される中、長崎県バスケットボール協会は「消毒液の設置や換気など最大限の注意を払った上で、選手のためにできる限り大会を開きたい」としている。
 一方で別の競技団体は「部活動再開から日が浅いので、故障が心配」と体調管理の面で慎重な姿勢をのぞかせる。本番が迫る中、各競技団体はぎりぎりの判断を迫られている。

 ■夏にもう一度

 県、九州の予選を突破して、この春、全国の舞台に立つはずだった全競技の選手たち。この中で、剣道女子の海星は今回が初めての全国大会出場だった。夏のインターハイは、同じく選抜大会に出場予定だった島原をはじめ、強豪校と1枚の切符を争わなければならない。ここでもう一度結果を出すために、少しでも多くの経験を積んでおきたいというのが本音だろう。
 鶴羽貴宏監督は「今は生徒たちも前を向いている。春季選手権に向けて準備を進めたい」と早期の問題収束を願っている。

 


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