乃木坂という名前、気になりませんか?ドラマにも登場した東京の9つの美しい坂道を散策

長崎や広島の尾道、神戸など、日本には坂道が多い街があります。山や海に沿った地形にあるこれらの街には、独特の美しさがあります。東京にも坂道がありますよ。東京は非常に大きな都市で、地形も変化に富んでいるのです。

自然にできた坂道だけでなく、東京では人口が増加し、都市の規模が拡大。地形も手が加えられ、新たに誕生した「」の数もさらに多くなっていきました。これにより、さまざまな景色に傾斜のある坂道が組み合わさり、味気のなかった都市に魅力が生まれていきました。

本編では、坂道好きのMATCHA台湾版編集者が、皆さんにおすすめの9つの坂道を紹介。魅力をお伝えします!

アイドルグループファンの聖地となった坂道

筆者は実際の坂道の景色が好きですが、以下の3つの「坂道」も好きです。この3つの坂はアイドルグループの名前になったことで有名になり、ファンの中で聖地となっています。

1. 乃木坂

乃木坂46」はデビュー当初、AKB48の公式ライバルとしてデビューしました。グループ名は、レコード会社の当時の所在地が「乃木坂」にあったことに由来します。

乃木坂は最初、江戸時代には幽霊坂と呼ばれていました。明治維新以後、乃木坂の近くの赤坂には軍関係の施設が点在し、陸軍大将の乃木希典(のぎ まれすけ)もその中にいました。明治天皇崩御後に乃木希典は殉死。当時の議会は、乃木の功績を讃えるため、幽霊坂の名前を乃木坂と改めたのです。

東京メトロの乃木坂駅の1番出口の隣には、乃木希典夫妻を祀る乃木神社があり、多くのファンたちが乃木坂46のグッズを持ってここで写真を撮ります。

2. けやき坂

坂道系アイドルグループの第2弾「欅坂46」の名前は、ひらがなの"けやき坂"に由来します。当時のスタッフのミスで漢字表記の「欅」を使ってしまいましたが、画数で運勢を占ってもらうと「欅坂46」という名前が最高の上昇運だったことから、そのまま漢字がグループ名に使用されることになりました。

では、グループ名の元となった「けやき坂」とはどこにあるでしょうか。それは、「六本木ヒルズ」の中央。けやき坂の両側には、高級ブランド店と朝日テレビもあります。

毎年冬、けやき坂の両脇の木々にはLEDのイルミネーションが輝きます。遠くには東京タワーが見える、東京の冬の名所へと姿を変えます。

3.日向坂

坂道系アイドルの第3弾「日向坂46」は、もともと欅坂46の妹分で「けやき坂46」としてデビューしました。しかし、徐々に人気が高まってきたため、現在の名前が付けられたのです。

名前は、港区三田にある「日向坂」からとっています。それほど長い坂道ではなく、江戸時代前期、坂の南側に徳山藩毛利日向守の藩邸(現在の大使館のような機能をもつ)の所在地があったことから、日向坂と呼ばれるようになりました。

港区の正式な記載は「ひゅうが」となりますが、グループ名は誤った読み方である「ひなた」を採用しました。発音も面白いですね。

映画やドラマに登場した坂道

日本の坂道は、よく映画やドラマのロケ地としても登場し、ファンたちの聖地となっています。

4.雪が谷大塚

東京都の南にある大田区。ちょうど武蔵野台地の東の端に位置しています。区の半分はほとんど台地であるため、住宅街の中に大小さまざまな坂道が存在します。なかでも、雪が谷大塚(ゆきがやおおつか)は最近よくドラマに登場しています。

日本の若手女優・有村架純(ありむら かすみ)主演の月9ドラマ『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(2016年放送)、俳優・田中圭(たなか けい)主演のドラマ『おっさんずラブ-in the sky-』(2019年放送)、綾瀬はるか主演の『義母と娘のブルース』(2020年放送)などがあります。

遠くに見える高層ビル群は、ドラマの中でよく"東京都心の景色"として登場しますが、実際は、神奈川県川崎市の武蔵小杉駅付近の高層マンションです。

5.須賀神社男坂

映画『君の名は。』の最後のシーンで登場したのは、四谷駅近くの「須賀神社」の男坂です。『君の名は。』の世界的な大ヒットで、住宅エリアにある神社も人気の観光スポットになりました。

訪れるファンのなかには、登場人物の瀧(たき)と三葉(みつは)がすれ違うシーンを再現して楽しむ人もいます。

6.田端駅南口

君の名は。』と同じく、新海誠(しんかい まこと)監督の作品『天気の子』の最後のシーンで登場するのが、山手線田端駅の無人の南口にある小さな坂道です。

聖女のように美しい主人公・陽菜(ひな)がいた場所で、一躍映画の聖地となりました。映画中ではこの坂道は長く見えますが、実際には130メートルほどしかありません。

坂道の左側は新幹線の高架線。新幹線が通過するときに、映画と同じシーンをカメラに収めることができます。

東京感満載の坂道の風景

東京といわれてどんな風景をイメージしますか? 私にとってそれは、高層ビル群と東京タワーの風景。次に紹介するのは、筆者推薦の3つの「東京らしい風景」です。

7.仙台坂

仙台坂は、日向坂の向かいにあります。この坂道上には世界各国の大使館が多くあり、付近の警備もしっかりしていて、警察官の詰所もあります。一帯は以前、仙台藩の藩邸があったことで知られています。

坂を登って振り返ると、東京タワーと東京ミッドタウンが見えます。坂道に高層ビル群が加わって、非常に「東京感」がある風景です。

8.神楽坂

東京メトロ「飯田橋」駅を出ると、有名な「神楽坂」に到着です。両側には商店が立ち並び、生活感いっぱいの商店街を形成しています。休みの日は歩行者天国になります。

この坂には赤城神社があります。本殿は、隈研吾氏によるデザインでとてもおしゃれです。神楽坂から後ろを振り返ってみると、人の流れと遠方の高層ビル群が「東京感」を醸し出しています。

9.表参道

表参道といえば、東京を代表する名所のひとつ。原宿駅から表参道駅まで長い坂道が続き、両脇にブランド店が立ち並んでいます。街は高級でおしゃれな雰囲気です。

道の両脇には多くの植物が植えられていて、季節の変わり目には葉の色が変化して、四季を感じられますよ。

表参道の路地裏にもたくさんの坂道があります。路地裏では、普段とは違った表参道の楽しさを感じることができるでしょう。

まとめ

今回9つの坂道を見て、坂道の魅力を感じたのではないでしょうか? 東京の地形は非常に面白く、地名に「坂」や「谷」があるエリアは、かなりの確率でかつて坂道や谷があったところです。

次回東京にやってくるときは、ショッピングなどだけではなく、坂道にも行ってみませんか? 眼下に広がる景色を静かに楽しむことで、東京の新しい表情が発見できるかもしれません。

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