元F1最高権威者のバーニー・エクレストンは、ルイス・ハミルトンに対し、現在のメルセデスとの契約が期限を迎えたとしても、フェラーリのシートに魅惑されることがないよう警告した。
ミハエル・シューマッハがかつてフェラーリをチャンピオンチームへと復活させたように、ハミルトンもまた同じ目標を携えて、メルセデスからフェラーリに移籍するのではないかとの噂が流れている。
しかしエクレストンは、そうした選択は間違いであり、現チャンピオンであるハミルトンは失敗を犯すことになる可能性が高いとしている。
「もし私がルイスならメルセデスに留まるだろう。彼は居心地良く過ごしているし、責任がある。彼を支えることが生きがいになっている者がいるのだ」とエクレストンは『Daily Mail』紙に語っている。
「フェラーリではそうはいかない。彼らはイタリア人だ。まず始めに、背後で何を言われているのかを理解できるようになるために、真剣に言葉を学ばなければならない」
エクレストンはさらに、フェラーリは現在はシャルル・ルクレールを中心にチームを形成しようとしていると指摘した。
「彼らはあのドライバーに夢中になっている。他のドライバーにとってはつらい状況になる。フェラーリは(2019年に)ルクレールを100%優遇していた」
「さらに、イタリア人全員の問題点は、戦おうとしないことだ。誰とも議論をしたがらない」とエクレストンは述べた。
「ひどい仕事をしている者に対して、『自分たちで解決できないのであれば、僕が解決する』『好きにすればいいが、僕は結果がほしい』と言うのではなく、彼らは『夕飯を一緒に食べて話をしよう、友だちになろう』と言うのだ」
エクレストンは、現在チーム代表を務めるマッティア・ビノットが、フェラーリをうまく率いていける人物であるという確信は持っていない。
「彼はエンジニアだ。フェラーリチームには、何かを発言したときには実際にそうなると思わせる、説得力のある人物が必要だ。もしかしたら、とか、議論しよう、ということではなくてね」
「私ならフラビオ・ブリアトーレにフェラーリの運営をやらせる。フラビオなら、かつてベネトンやルノーで常に行ってきたことをやるだろう。つまり、他のチームから最高の人材を盗んでくるのだ」
「問題はフラビオの場合、最終的にはフェラーリが彼に帰属すると人々に思わせてしまうことだ」とエクレストンは付け足した。
■エクレストン、ハミルトンを史上最高のF1ドライバーとは評価せず
メルセデスがハミルトンから最高の力を引き出してきたことは、ここ最近のタイトル獲得歴を見れば疑いの余地はない。しかしエクレストンは、チーム代表であるトト・ウォルフの、ドライバーの管理方法については批判的だ。
「メルセデスはすぐに彼(ハミルトン)を制御しようとする。私なら完全なる自由を与えただろう」とエクレストンは主張する。
「私なら次のレースが何時に始まるかだけを伝えて、それまでに到着しておくようにと言うよ。それ以外なら、彼は何でも好きなことをしていればいい」
「契約金をカットして、どんなスポンサーでも構わないから自分で見つけ出させる。彼はレースをやめた後にやることを探している。ファッションや音楽のようなことだ」
「シューマッハよりひとつ多くチャンピオンを獲得できるかどうか、心配する必要などない。彼がレースをやめたければ、それだけの理由でやめればいい。走りたいなら続けるべきだ」
「ルイスは全体として自分自身に確信が持てないのだと思う。それがドライビングにも影響を与える。チームメイトがどんなタイムを出しているか、フェラーリに何が起きているかを知りたがっているとき、彼はあまり自信がない状態だ」とエクレストンは言う。
これまでのF1の偉大なるドライバーたちのなかで、ハミルトンをどこにランク付けするかと聞かれたエクレストンは「トップ4か5」と答えた。彼は今でもアラン・プロストが過去最高だと考えており、その後にネルソン・ピケ、スターリング・モス、ファン・マヌエル・ファンジオが続くという。
「ルイスには最高の装備と最高のチームがあり、何もかもが最高だ。いずれにしても誰よりも誰が優れているかを言うのは難しいことだ」とエクレストンは述べた。