F1のオーストラリアGPの中止は、地元オーストラリアの人々には、どのように受け止められていたのか。中止が発表された翌日の3月14日(土)の地元紙の報道をもとに、探ってみたい。
ヘラルド・サン紙で興味深かったのは、この中止が開幕直前となったことで大きなフードロスが生じたことを紹介していたことだ。ヘラルド・サン紙によれば、「餃子4000個、牛肉2000枚、じゃがいも300kg、パスタ100kgが売れ残り、さまざまな慈善団体と福祉施設へ寄付される」という。
だが、どの新聞もオーストラリアGP中止を一面で大きく報じているところがなかったのも、現実である。その理由は、すでにオーストラリアは3月に入ってから、新型コロナウイルスの影響でスーパーマーケットで、パニック買いによるトイレットペーバーや食料品などの品不足が社会問題となっていて、モータースポーツ・ファン以外にとっては、それどころではなかったからだ。
本来、オーストラリアGPのレースが行われるはずだった15日の翌日には首都特別地域とメルボルンがあるビクトリア州が、新型コロナウイルスの感染拡大抑制に向け、非常事態を宣言。14日の新聞も、どちらかといえば、新型コロナウイルス関連の報道のほうが目立っていた印象だった。