蔚来CFOが離職、百億の資金調達が未だ目途立たず

蔚来汽車(NIO)は、最高財務責任者(CFO)謝東蛍氏(XIE DONG YING)が個人的理由により2019年10月30日付けで辞表を提出したと発表した。この影響を受けて、蔚来の始値が一時8%以上下落した。

蔚来は今、資金調達において重要な局面にある。今年5月、北京のある国有投資会社は現金100億を蔚来中国に出資し、株式を取得するとしたが、この資金調達は未だ目途が立っていない。今年6月末現在、蔚来汽車の所有する現金や現金等価物、制限付き現金、短期投資は35億元を下回っている。新たな融資が実現しなければ、年末にはキャッシュフローが苦境に陥るだろう。最近は人員削減、自動車の自然発火などマイナス面の情報が続き、企業イメージに大きな影を落とした。CFOが離職するという情報は蔚来汽車の経営に対するさらなる不信の引き金になると思われる。

解説:

新エネルギー自動車業界全体の景気が芳しくない今、スタートアップ自動車メーカーの資金調達は厳しい状況にある。「中国版テスラ(TESLA)」と称される蔚来汽車とて例外ではない。増え続ける赤字が資金調達を困難にし、未だ百億の資金調達の目途が立っていない。さらに中枢を担う幹部が離職したことは、企業経営が困難になっているというマーケットシグナルとして受け取られる。熾烈な競争の中で同社が十分な資金を獲得できるかどうかが難局を乗り切る鍵となる。

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