最大で413万円差 結婚式の支払い額が「高い県」「低い県」

結婚式を挙げて当たり前という親世代感覚とは異なり、現在は、婚姻届を出すだけの「ナシ婚」から伝統的な「派手婚」まで、ふたりのスタートの多様化が起こっています。また、前回見てきたように、地域によっても結婚式の挙げ方に傾向があることが明らかになりました。

今回は、伝統的な結婚式場での門出を選んだカップルが、一体いくらくらいかけているのか、という都道府県別のデータで見ていきたいと思います。

今回はイマドキの結婚式の姿を、「結婚式場登録事業者による結婚式」1件あたり金額データ(都道府県別)を確認することでみてみたいと思います。

今回利用するオープンデータも、経済産業省が「冠婚葬祭業」と定めて報告を義務(※)づけている企業・団体が提供するサービスとしての結婚式を利用した人の最新(2017年)動向となります。

前回同様、ありとあらゆるイメージ上の結婚式を網羅した上での金額を示しているものではないことを前提として、読み進めていただきたいと思います。

※:経済産業大臣から調査対象に指定された事業所・企業には、調査票を記入し報告する義務があります(統計法第13条)。そのうち、冠婚葬祭業の中の結婚式場業務を扱う企業団体を抽出しています。


高額ベスト4までがすべて関東

経済産業省が実施している「特定サービス産業実態調査」の2017年の結果からは、結婚式場業務を扱う企業団体が提供するサービスで結婚式を挙げるカップルにおいては、1件当たりの平均金額が324万5524円となっています(岩手、滋賀、奈良、和歌山、岡山、沖縄を除く)。

ただし、この数字をみて、「伝統的な式場婚は324万円必要だ」と思い込むのは妥当なデータの見方ではありません。

全国平均以上の金額のエリアは22エリアでしたが、そのうち平均でも400万円を超えてくるエリアが4エリアあります。神奈川県、千葉県、栃木県、東京都です。見事に関東ばかりとなっています。

関東の結婚は、全国水準に比べるとかなり高い水準にあるということが指摘できます。ただこれには、別のデータの解釈も可能です。「関東では、二人のスタートにお金を沢山かける結婚式といえば、結婚式場婚が選ばれやすい」ということなのかもしれないからです。もし、そのエリアにおける「お金をかけた結婚」のイメージが結婚式場婚でない場合は、お金をかける先が異なるため、このランキングでは下位にくる、ということを注記しておきたいと思います。

確かに、東京都やその近郊は高級ホテルやディズニーランド提携ホテルなどが数多く存在するため、結婚式にお金をかける場合、大型ホテルが選ばれる、イメージされるケースは多いと思います。

また、全国平均以上には九州エリアが多くランクインしています。ランキング上位の350万円以上エリア(13位以上)に、大分、佐賀、鹿児島がランクインしています。長崎、福岡も全国平均以上にランクインしていますので、九州8県中5県のランクインとなります。関東に次ぐ「派手な式場婚エリア」ということができるかもしれません。

異彩を放つ高知県と北海道

一方、全国平均である324万円以下のエリアが19エリア存在します。

なかでも高知県は平均25万円と安さにおいてダントツの1位独走の状態です。2位の北海道も200万円をきっており、もしかするとこの2エリアは「リーズナブルな式場婚が叶うエリア」といえるかもしれません。

ただ、北海道は広大なエリアに31事業所、高知県は4事業所の結果ですので、式場婚の選択幅、という意味では限られる可能性はあるかもしれません。

式場価格は25万円から438万円までと「大きな幅」

今回比較した都道府県の式場婚平均価格は、金額の幅は大きくあるものの、いずれも「結婚式場業務」として国に登録されている事業所によるものばかりです。

そういう意味では、結婚式、といってもある程度内容がそろっているものの中での比較といえるかもしれません。

一番高額なエリアと低額なエリアで実に400万円もの差があるとなると、親族の旅費等負担を考えてもなお、「転地ブライダル」というのもありではないか、と経済系アナリストの筆者は思ったりしたのですが、読者の皆さんの考えはいかがでしょうか。

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