合格率10%の難関試験 公認会計士に一発合格 五島出身・荒木さん「難しいからこそ成長できる」

公認会計士の試験に合格した荒木さん=五島海陽高

 最も難しい国家試験の一つとされる公認会計士試験に、五島市の県立五島海陽高を卒業した専門学校生、荒木翔さん(20)が一発合格した。合格率10%余りの狭き門だが、「難しい試験だからこそ成長できる」と一心に勉強に励んできた。4月から福岡市の監査法人で実務経験を積む。
 五島市岐宿町出身。海陽高では情報系列を専攻し情報処理技術を学んだが、公認会計士の基礎となる簿記などは専門外で学習の機会がなかった。だが3年生で、「将来のため価値のある資格を取りたい」と公認会計士の試験対策ができる専門学校を志望。教諭らは思わぬ“方針転換”に一度は引き留めたが、本人の意志は固く、2018年に大原簿記情報専門学校熊本校(熊本市)に入学した。
 「安定した職」に対する強い思いの背景には、農業を営みながら男手一つで育ててくれた父親への感謝がある。中学時代に不規則な生活が続いて学校を休みがちになった時も、父親は静かに見守ってくれた。「父を安心させたい」との思いが、難関試験に挑むモチベーションになった。
 専門学校ではアルバイトや趣味のゲームもせず、ひたすら試験勉強に打ち込んだ。平日は多い日で1日10時間、休日は1時間でもテキストに向き合う時間をつくった。「勉強は苦痛だったけど、自分で決めた道なので勉強しない理由がなかった」
 1年目の冬に1次試験に当たる「短答式」を難なくパスし、昨年8月に「論文式」を受験。3カ月後、合格が判明した。「めちゃくちゃほっとした」と荒木さん。父親にも合格を伝えた。金融庁の公認会計士・監査審査会によると1万2532人の出願者に対し、最終合格者は1337人。合格率10.7%だった。
 今後は公認会計士としての正式な「登録」に向け、3年間実務を学ぶことになる。荒木さんは「不安もあるけれど、自分で考えて判断し、人から信頼される人間になりたい」と抱負を語った。

 


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