【新型コロナ】「買い占め、ご遠慮を」…でも心配 外出自粛に生活者当惑、店舗はフル稼働「気が遠くなりそう」

買い占めを控えるようお願い文が貼り出されたスーパーの売り場=26日午後6時半ごろ、横浜市神奈川区

 新型コロナウイルスの感染拡大防止に向けた首都・東京発の外出自粛要請は26日、神奈川など周辺各県を巻き込んで暮らしを直撃した。スーパーで食品の売り切れが相次ぐなど、県内で影響が拡大。冷静な行動を求める声が住民からも上がる一方、対策の効果に疑問を投げ掛ける向きも少なくない。

 「もう気が遠くなりそう」。26日の昼。横浜市中区の大型スーパーでは買い物客の列が途切れず続き、レジの女性店員が思わずこぼした。

 「昨日までこれほど多くなかった。小池さん(東京都知事)が会見したもんだから、みんな食べ物が無くなると思って来たんでしょうね」。10カ所ほどのレジがフル稼働でサービスカウンターも開放。それでも店内には長蛇の列ができ、納豆や袋麺、冷凍食品、ソフトドリンクなど保存できる商品には午前中から売り切れも出た。

 同区内の別の大手スーパーでもパスタや冷凍ギョーザ、ホットケーキミックスなどの食品が商品棚から消えていた。40代の主婦は「都内の店で商品がなくなっている映像を見て慌てて、買いに走った」。自転車のかごにはコメや小麦粉などが詰まった袋、手にも袋を提げ、「3万円は使った。2~3週間は大丈夫」と家路に向かった。

 こうした動きを横目に、9歳と6歳の子を持つ自営業の女性(40)は「食品がなくなるとは思っていないが、買い占めや転売する人もいる」と不安を吐露。「節度を保ちたい」と普段の買い物に加え、念のための備蓄用にコメ2キロと食パンだけ買い足したという。

 「買占め ご遠慮ください」─。同市神奈川区のスーパーでは26日午前から、商品棚に異例のお願い文を貼り出した。

 外出自粛に備えた大量購入を控えてもらう措置だ。この店ではカップ麺などごく一部の商品で品薄状態もみられたが、50代の女性客は「自粛は週末だけのこと。買いだめなんて意味ない」と努めて冷静だった。

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