最も強力な速球トップ5 ダルビッシュのカッターも選出

日本時間3月30日、メジャーリーグ公式サイトではデービッド・アドラーらが球界で最も「ナスティ」な速球トップ5を紹介する特集記事を公開した。「ナスティ」とは本来「不快な、嫌な」という意味で使われる形容詞で、「打者にとって不快なボール」、要するに「強力なボール」を形容する際によく使われる。一口に「速球」と言っても様々な種類があり、今回はフォーシーム、ツーシーム、シンカー、カッターが対象。選出されたトップ5のなかには、ダルビッシュ有(カブス)のカッターもランクインした。

「強力な速球」として真っ先に挙げられたのがジョシュ・ヘイダー(ブリュワーズ)のフォーシームだ。昨季のヘイダーは全投球の8割近くをフォーシームが占めたが、このフォーシームはマリアーノ・リベラ(元ヤンキース)のカッターのように「来るとわかっていても打てないボール」である。ヘイダーは昨季、フォーシームしか投げなかった登板が7度もあり、この7試合でのフォーシームに対する69度のスイングのうち、空振りは実に43度。打球が前に飛んだのは10度だけだった。ヘイダーはフォーシームだけを投げた7度の登板で防御率1.04、奪三振率57%という驚異的な数字をマークしている。

ゲリット・コール(ヤンキース)は、アストロズでプレイした昨季、フォーシームが平均球速97.1マイル、平均スピンレート2530を記録。このフォーシームは空振り率37.6%を記録し、被打率.166は先発投手のなかでベストの数字だった。

ブランドン・ウッドラフ(ブリュワーズ)のフォーシームも強力で、平均球速は96.3マイルを記録。打球の初速度や発射角度に基づいた得点期待値から算出される「xwOBA」は先発投手のなかで2位となる.264を記録し、これより優れた数字をマークしたのはコールだけだった。

ジョーダン・ヒックス(カージナルス)のシンカーは「メジャー最速の速球」として知られており、昨季は平均球速100.6マイルを記録。まだメジャーで通算100イニングほどしか投げていないにもかかわらず、100マイル以上の投球の数はアロルディス・チャップマン(ヤンキース)に次ぐメジャー2位である(ピッチ・トラッキングが開始された2008年以降の合計)。102マイル以上の投球の71%がヒックスによるものであり、その球速は最速105マイルに達する。

そして、特集記事の最後にダルビッシュのカッターが登場する。10個の球種を使い分けるダルビッシュは2種類(80マイル後半と90マイル前半)のカッターを使い分けていると見られ、このカッターが昨季後半戦の好投のカギの一つとなっていた。昨季カッターで奪った三振77個はメジャー最多の数字。カッターで決着した246打数での被打率は.195だった。

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