ゼンリン・高山善司社長 インタビュー 長崎をモデルケースに 

「長崎でモデルケースを作りたい」と話す高山社長=東京都内

 〈長崎市に研究開発拠点を開設するゼンリンの高山善司社長に進出の理由や事業展開を聞いた〉

 -進出の決め手は。
 県産業振興財団からお話をいただく中で、長崎は産学官の連携が強く、大学に情報データを研究する学部ができたのが最終的な決め手。地図はデータベースの塊だ。そして、長崎は観光資源が数多くある。その中で(次世代交通サービスの)MaaS(マース)などの実証実験をやり、実体としてサービスを作り上げることができるのではないかと思った。
 -人工知能(AI)を活用した地図データの作成に関する研究開発とは。
 例えば、平和公園は平和公園、眼鏡橋は眼鏡橋と、今はまだ観光施設を単体のモノとしての発想でしか見ていないと感じる。それを地図データベースを使い施設のつながりや人の回流といった目線で捉え、便利に利用できる仕組みができないかと考えている。長崎をモデルケースにして、他の地域にも広げられればいい。
 -施設名「長崎R&Dブランチ」に込めた思いは。
 R&D(研究開発)を付けたのは、どうしても目先の利益が優先されがちになる中で、そこにとらわれない研究開発を進めたいから。
 -抱負を。
 ただの実験で終わらせたくない。国や自治体が予算を付けている実証実験は実験自体がゴールになり、事業化まで持って行けていないケースも多い。そうではなく、大学などと連携を図りながら、しっかりモデルケースを作りたい。

 【略歴】たかやま・ぜんし 1986年にゼンリン入社。経営戦略室長や取締役営業本部長などを経て、2008年4月から現職。西南学院大卒。佐世保市出身。57歳。

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