小田原市立図書館、新型コロナでイベントもなくひっそり閉館

31日に閉館する小田原市立図書館=小田原市城内

 60年以上にわたり小田原市民に親しまれた市立図書館(星崎記念館)が31日、老朽化に伴い閉館する。閉館イベントは新型コロナウイルスの感染拡大防止のため中止に。2日からの休館措置が県の緊急宣言を受けて31日まで延長され、来館者の姿もないままひっそりと閉館する。

 市立図書館は1959年、移民として渡った米国で成功した同市出身の星崎定五郎が寄付した5万ドル(当時の日本円で約1800万円)をもとに小田原城址公園内に建設された。定五郎の名を取って「星崎記念館」と名付けられた。

 各種展示会のほか、サークル活動の拠点としても利用され、長く市民の文化の中心地として親しまれたが、近年は老朽化が問題となっていた。国指定史跡内にあり建て替えができず、コンクリート強度も現在の耐震基準を下回っていた。

 市は小田原駅東口お城通り地区に建設中の広域交流施設「ミナカ小田原」内に新たな図書館を開設することに伴い、市立図書館の3月末の閉館を決定。19万冊の蔵書の大半は新図書館や「中央図書館」と名称変更する「かもめ図書館」へ移し、地域資料や文学資料の収蔵、調査研究機能も同図書館に移管する。

 閉館記念で予定していた2日の講演会や4月4日のイベントは新型ウイルスの影響で中止が決まり、市民が名残を惜しむことができないまま閉館となる。市立図書館の担当者は「誠に残念の一言。ただ中止したイベントなどは後日の開催を検討しており、楽しみにしてほしい」と話している。

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