原宿を拠点にインディーズ活動をしていた男性5人組のメジャー3rdシングル。平均年齢26歳と、新人にしては年齢高めの分、各メンバーが2.5次元俳優やモデル、YouTuber、ダンス振付などソロ活動も頑張っている。特に、アイドルオタクのモノマネ動画で末吉9太郎が人気で、彼に特化したディスクを紹介したい。
表題曲は、女性達がお洒落して街に出かけたくなりそうな流麗なポップス。2曲目の『Sweet Beat』は、ミディアム調のヨコノリ部分と、ダンスビートの効いたタテノリ部分の対比が興味深いラブソング。5人の声質は異なれど、ユニゾンになった際に一気に親しみが増すのが彼らの強みだろう。
注目は、9太郎がソロで歌う3曲目の『顔面国宝!それなー』。ヒャダインを想起させる超高速アゲアゲ・ナンバーで、9太郎自らが作詞を手がけ、「今日も整理番号は一桁」「とにかく食費は 抑えろ推しに積め」など、難しい本を読まなくても、この1曲でアイドルオタクの生態が把握できるのが凄い。これだけズバズバ言うと普通は反感を買いそうなものを、愛くるしいキャラと歌声で、誰も敵にしないのも天賦の才能と言えるだろう。
この9太郎盤には、15秒動画のBGMにも使えそうなコミカルな『それなの歌』『全力それな』『爽快パンチ』も収録。自粛ムードの中でも、まずは自分の気持ちを下げないよう、本作が大いに支えてくれるはず。
(キングレコード・末吉9太郎盤1182円+税)=臼井孝