海砂採取跡に生物 有識者、長崎県に継続調査提言

 コンクリート骨材となる海砂の採取が海域に与える影響を検討する県の有識者会議はこのほど、2018~19年度に壱岐沖で実施した調査結果と今後の対応を県に提言した。採取跡の海底地形に変化はほとんど見られないが、環境に合った生態系が形成されていくとの見方を示し、5年後の継続調査を求めた。
 調査は11年度から3年おきに実施し、今回3回目。
 委員長の原田哲夫長崎大大学院工学研究科教授は、採取跡の海底で石などに付着する生物が確認されているとして「海砂採取の影響から回復しつつあると考えられる」と指摘。
 海砂採取船から排出される濁り水に混じった粒子については、潮流が速いこともあり、採取海域付近には堆積していないが、拡散範囲は不明として「実態を明らかにする必要がある」と述べた。
 提言を受けた県側は「調査は一定の成果があった。今後も必要な調査は引き続き実施し、自然環境の保全に留意しながら持続可能な海砂採取行政に取り組みたい」としている。

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