1995年ア・リーグMVPの再投票 MLB公式サイトが特集

1995年のアメリカン・リーグMVP投票は、モー・ボーン(レッドソックス)がアルバート・ベル(インディアンス)をわずか8ポイント差でかわし、自身唯一となるMVPを受賞した。しかし、このMVP争いはこれほど僅差になるべきだったのだろうか。また、勝者は正しかったのだろうか。メジャーリーグ公式サイトでは、13人のライターが再投票を実施。マーク・フェインサンドが特集記事でその結果を公開している。

この年のMVP投票では、28人の投票者から1位票をボーンが12票、ベルが11票獲得。エドガー・マルティネス(マリナーズ)に4票、ホゼ・メサ(インディアンス)にも1票が入った。また、ボーンとベルは28人の投票者全員から3位までの投票を得た。この年のMVP投票の実際の結果は以下のようになっている。

1位 モー・ボーン(レッドソックス)
2位 アルバート・ベル(インディアンス)
3位 エドガー・マルティネス(マリナーズ)
4位 ホゼ・メサ(インディアンス)
5位 ジェイ・ビューナー(マリナーズ)

この年のインディアンスは、144試合制の短縮シーズンでありながらシーズン100勝(44敗)をマークし、2位に30ゲームの大差をつけて地区優勝を果たした。その強力打線の中心となったベルは、いずれもリーグ1位の50本塁打、126打点、52二塁打、121得点、長打率.690を記録する大活躍。シーズン50二塁打&50本塁打を達成したのは、メジャー史上でこの年のベルが唯一である。

一方、MVP受賞者となったボーンも、地区優勝を果たしたレッドソックスの主砲として打率.300、39本塁打、126打点の好成績をマーク。ベルと並んで打点王のタイトルを手にしたが、それ以外にリーグ1位の部門は三振(150)だけだった。

単純に個人成績だけを比較すれば、ベルが圧勝してもおかしくないように見えるが、問題児として名をはせたベルの人間性を嫌う記者が多く、また、ベルが前年にコルクバット使用で出場停止処分を受けていたことも逆風となった。ボーン自身も「成績だけじゃない。性格も重要なんだね」と成績以外の要素が投票に影響を与えていたことを認めたほどだ。

では、メジャーリーグ公式サイトのライター13人が現在の価値基準で投票した結果はどのようになったのか。トップ5は以下の通りである。

1位 アルバート・ベル(インディアンス)
2位 エドガー・マルティネス(マリナーズ)
3位 ランディ・ジョンソン(マリナーズ)
4位 ティム・サーモン(エンゼルス)
5位 フランク・トーマス(ホワイトソックス)

再投票の結果、1位票8、2位票4、3位票1を獲得したベルが1位となった。実際の投票で3位だったマルティネスが2位、同6位のジョンソンが3位、同7位のサーモンが4位、同8位のトーマスが5位へ順位を上げている点にも注目だ。一方、実際の受賞者であるボーンはトップ5に入ることができず、6位に終わった。

フェインサンドは「投票者たちは、ストーリー性や性格に関連した問題よりも選手のスタッツを入念に調べるようになった」と結論付けた。もちろん、1995年の投票結果が間違いというわけではない。選手を評価する各種の指標がまだ発達していなかった時代ならではの出来事の1つと言えるのではないだろうか。

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