学習ドリル、医学書…終活本も コロナ拡大で需要に変化 自宅での時間 有意義に シリーズ全巻を“大人買い”など

ウイルスをテーマにした児童書を手に取る来店客=長崎市尾上町、メトロ書店本店

 新型コロナウイルス感染拡大により長崎市内の小中高校は休校。外出を控える大人も増えつつある。そうした影響は本の需要にも変化をもたらしている。図書館や書店では、自宅で子どもが読んだり学習したりするための児童書やドリルが人気。大人の間では、会社の業績悪化や健康への不安からか資格所得や医学書、「終活」についての本などへの関心が高まっている。一方、漫画も売れ行きが好調だ。
 例年なら春休みに多くの子どもたちが訪れる市立図書館(興善町)。今年はコロナ禍で、3月4日~4月5日まで小中高校生の館内での自主学習を中止している。児童・生徒が来館して貸し出し、返却などの利用はできるが、3月は前年同月比で1割ほど入館者が減少。ただし貸出冊数は減っていないことから、職員は「外出を控えて自宅で読書にふける人が複数冊まとめて借りていくためだろう」と推測する。休校の影響で児童向けの本が人気。また、2月上旬に感染症関連本のコーナーを貸し出しカウンターに設置したところ、疫学などをテーマにした医学書を借りる大人が増えたという。

感染症などに関する本が並ぶ棚=長崎市興善町、市立図書館

 くさの書店チトセピア店(千歳町)では、コロナ特集を組んだ週刊誌がよく売れている。感染症の知識を子どもに伝えたい親も多いようで、メトロ書店本店(尾上町)では、ウイルスについて子どもに分かりやすく解説した児童書が人気を集めている。
 同店では資格所得やテレワークに関する本も売れ筋。エンディングノートなど「終活」に関する本の購入や問い合わせも1日に5件ほどある。「コロナ禍による会社の業績悪化の懸念や、健康不安が広がっていることも背景にあるようだ」と同店の責任者。
 好文堂書店(浜町)では、家庭学習用の小中学生向けドリルが平時の1.5倍の売れ行き。人気漫画を親が子どもと一緒に読むためにシリーズ全巻を“大人買い”するケースも増えている。山下奈々美店長(38)は「メディアはコロナの話題ばかりなので、家族で一緒に漫画を読んで明るい気持ちでいたいのでは」と述べ、「本の楽しさに触れる事で、自宅での時間を有意義に過ごしてほしい」と話している。


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