「真のドラフト全体1位指名」はボンズ? MLB公式サイトが特集

メジャーリーグ公式サイトではジム・キャリス、ジョナサン・マヨ、マイク・ローゼンバームの3人が興味深い企画の特集記事を公開している。ドラフトが開始された1965年以降に全体10位以内で指名された選手を対象として3人がドラフトを実施し、野手8人(各ポジション1人)と投手2人(左右1人ずつ)のドリームチームを作るという企画だ。各年の全体10位以内に指名された選手のなかから真っ先に指名されたのはバリー・ボンズだった。

今回の企画には「各ポジション1人ずつを指名する」「各年の全体10位以内に指名された選手が対象」のほかにもう1つルールが決められており、全体1位指名選手から全体10位指名選手までを必ず1人ずつ指名しなければならない。たとえば、ボンズは1985年にパイレーツから全体6位で指名されたため、ボンズを指名したあとはほかの年度の全体6位指名選手は指名できなくなる。

指名はローゼンバーム、キャリス、マヨの順に完全ウエーバー制で行われ、10巡目の最後にローゼンバームが指名したところで終了。各チーム10人、合計30人の選手が指名された。それでは、ラウンドごとに各チームの指名選手を見ていこう(通算WARの数値はBaseball-Referenceのものを使用)。

1巡目
ローゼンバーム:バリー・ボンズ外野手(1985年6位・WAR162.8)
キャリス:アレックス・ロドリゲス三塁手(1993年1位・WAR117.5)
マヨ:ポール・モリター二塁手(1977年3位・WAR75.7・殿堂入り)

2巡目
マ:クレイトン・カーショウ投手(2006年7位・WAR67.9・現役)
キ:フランク・トーマス一塁手(1989年7位・WAR73.8・殿堂入り)
ロ:チッパー・ジョーンズ三塁手(1990年1位・WAR85.3・殿堂入り)

3巡目
ロ:ジャスティン・バーランダー投手(2004年2位・WAR71.6・現役)
キ:ロビン・ヨーント外野手(1973年3位・WAR77.3・殿堂入り)
マ:ケン・グリフィーJr.外野手(1987年1位・WAR83.8・殿堂入り)

4巡目
マ:レジー・ジャクソン外野手(1966年2位・WAR74.0・殿堂入り)
キ:テッド・シモンズ捕手(1967年10位・WAR50.3・殿堂入り)
ロ:バリー・ラーキン遊撃手(1985年4位・WAR70.5・殿堂入り)

5巡目
ロ:マーク・マグワイア一塁手(1984年10位・WAR62.2)
マ:デレク・ジーター遊撃手(1992年6位・WAR71.3・殿堂入り)
キ:デーブ・ウィンフィールド外野手(1973年4位・WAR64.2・殿堂入り)

6巡目
キ:ハビアー・バイエズ二塁手(2011年9位・WAR16.8・現役)
マ:ケビン・エイピアー投手(1987年9位・WAR54.5)
ロ:バスター・ポージー捕手(2008年5位・WAR41.8・現役)

7巡目
ロ:バリー・ジート投手(1999年9位・WAR31.9)
キ:ライアン・ブラウン外野手(2005年5位・WAR46.8・現役)
マ:デール・マーフィー外野手(1974年5位・WAR46.5)

8巡目
マ:サーマン・マンソン捕手(1968年4位・WAR46.0)
キ:フランシスコ・リンドーア遊撃手(2011年8位・WAR27.6・現役)
ロ:ロニー・スミス外野手(1974年3位・WAR38.5)

9巡目
ロ:ニック・マーケイキス外野手(2003年7位・WAR34.2・現役)
キ:ザック・グレインキー投手(2002年6位・WAR71.0・現役)
マ:トッド・ヘルトン一塁手(1995年8位・WAR61.8)

10巡目
マ:ロビン・ベンチュラ三塁手(1988年10位・WAR56.1)
キ:グレッグ・スウィンデル投手(1986年2位・WAR30.5)
ロ:トッド・ウォーカー二塁手(1994年8位・WAR10.5)

※キャリスとマヨは14番目&17番目の指名権と15番目&16番目の指名権をトレードした。そのため、5巡目と6巡目は指名順がほかと異なっている。

WARの合計はマヨの637.6が最高で、ローゼンバームが609.3、現役選手4人を指名したキャリスは575.8となった。ローゼンバームは「入手できるベストの選手を指名するのは簡単なこと」と迷わずボンズを指名。キャリスは「ボンズに次いで2番目に優れた選手」としてロドリゲスを1巡目で指名し、マヨは「層が薄いポジション(二塁手)を1巡目で指名することにした」とモリターを選択した。

マヨが6巡目で指名したエイピアーは2ケタ勝利を10度記録し、通算169勝をマークした右腕で、ドラフト全体9位指名としては史上最高の通算WARを記録している。マヨはドワイト・グッデン(1982年5位・WAR53.0)と迷いつつも、WARでわずかに上回るエイピアーを選択した。

ローゼンバームは7巡目終了時点で外野手をボンズしか指名しておらず、8巡目で通算370盗塁のスミス、9巡目で通算2355安打のマーケイキスを慌てて指名。ほかの2チームに比べると寂しい外野陣となってしまったが、ボンズのおかげで外野手3人の平均WARは80近い数字になっている。

キャリスが10巡目で指名したスウィンデルは2ケタ勝利を6度記録し、通算123勝をマークした左腕。キャリア後半はリリーフに転向し、2001年にはダイヤモンドバックスの世界一にも貢献した。

そして、ローゼンバームは最後にウォーカーを指名。「すべてのポジションと順位で良い指名をすることはできない」と言い訳しつつ、指名された30人のなかでWARが最も低いウォーカーを指名して「全体8位」と「二塁手」の2つの穴を埋めた。

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