三浦市教育委員会は31日、「三浦の農耕(業)関係用具」を市重要文化財(重文)に指定した。有形民俗文化財が市の重文指定を受けるのは初めて。
主に大正から昭和中期にかけて使われた用具445件652点で、肥料をまくために木のおけに竹筒を付けた「ヒョットコ」と呼ばれる道具や、現在は見られなくなった足踏み脱穀機、手動の扇風機などが含まれる。市教委が1970年代以降に市内の農家らから協力を得て収集してきたものという。
かつては米や麦、アワ、ヒエなども作られていた三浦半島南部で、機械化以前に、家畜や人の力のみで農作業が行われていた時代を知る貴重な資料として指定された。民俗資料の収集は現在も続いており、文化財担当の田中勉さん(63)は「指定が収集の後押しになれば」と話している。
これで市指定重文は25件となった。ほかに国重文が4件、県重文が11件ある。