「支持率ゼロ」のMVP
「12のゼロ」を公約に掲げた希望の党が最初で最後に実現したゼロは、公約には掲げられていなかった「支持率ゼロ」でした(笑)。
結党当初は、第2の大型保守政党が誕生するという期待の下に保守層を取り込んだ希望の党でしたが、その中身のなさに民心はどんどん離れていき、ついに支持率ゼロを記録するに至りました。
この「支持率ゼロ」の原動力となったのは、性懲りもなく国会質疑で政権に対する【人格攻撃】を続けている民進党出身議員であると考えられます。
とりわけ、ブーメランを惜しげもなく投げ続けた玉木雄一郎代表と、くどい野次が空回りしている山井和則議員の貢献度は非常に高かったと言えますが、MVPを1人挙げるならば柚木道義議員ではないかと考える次第です(現在は全員、国民民主党所属)。
柚木議員と言えば、国会議員に必要とされる政策の議論なしに、ヒステリックな説教的言い回しによってただただ政府のスキャンダルのみを追及する質問で知られています。
たとえば厚生労働委員会でも、議事とは関係のないスキャンダルの追及を繰り返し、しばしば委員長から注意を受けています。何度注意を受けても柚木議員がスキャンダル追及をやめないのには、次のような理由があると考えられます。
⑴スキャンダル事案の場合、当事者に見かけ上の瑕疵が必ず存在し、その【倫理】を主観的な価値観で断罪すればよいので、追及が非常に安易である。
⑵スキャンダル事案は、購読数・視聴率を上げるために【センセーショナリズム】を求めているマスメディアに取り上げられやすく、宣伝効果が大きい。
⑶スキャンダル事案のような主観的な規範で善・悪を判断する【倫理】の問題は、法律事案のような客観的な規準で真・偽を判断する【論理】の問題とは異なり、誰にでも勝手に判断できるため、情報弱者を容易に共感させることができる。
すなわち、スキャンダル追及は、議員としての能力が低くても容易に関与ができ、その見返りも大きいということが言えます。政策形成能力が低い野党が「森友問題」 「加計問題」「日報問題」等のスキャンダル追及にとびつく理由もここにあると考えます。
常軌を逸したアピール
さて、2017年の衆議院選挙においては、柚木議員の常軌を逸した「当選ファースト」の行動が顕在化し、小池百合子都知事とともに希望の党のイメージを地に落としました。
選挙目当てで民進党をいち早く捨てて希望の党の政策に迎合した挙句、選挙情勢が危うくなると小池批判を始めてその政策に反旗を翻したという一連の行動が、民主党・民進党にありがちな節操のない議員のステレオタイプとして、ワイドショーに認定されました。
結果として、情報弱者に見捨てられた希望の党の支持率は落ちるところまで落ち、最終的に「支持率ゼロ」に至ったわけです。
そんななか、柚木議員のスキャンダル追及は留まるところを知らずに、むしろ過激化していると言えます。これは、支持という快楽を求め続ける中毒タイプの行動ではなく、快楽の禁断症状を恐れる依存症タイプの行動であると考えられます。
柚木議員はいま野党で最も目立つ議員の1人となっていますが、ここで注目すべきは、柚木議員の極めて計算高い画像や映像への登場方法です。
多くの野党議員がスキャンダル追及に参加しているなか、柚木議員はそれに埋没することなく、常に画像・映像内で最も目立つ存在になっていると言えます。
なぜ柚木議員が画像・映像内で目立っているのかを分析すると、柚木議員は次の3つの行動パターンのうちいずれか、または複数を徹底的に実践しているということがわかります。
【行動パターン1】注目の人物の近くに位置する
【行動パターン2】カメラの方向に顔を向ける
【行動パターン3】大きな声を出す
このような単純な行動パターンを鉄則として実践することによって、柚木議員は地元、岡山4区の情報弱者をターゲットとして自己アピールを行っているものと考えられます。以下、実際の画像・映像を紹介しながら説明したいと思います。
柚木議員「国会採決」編
柚木議員がその自己アピールの本領を発揮した伝説のシーンが、2015年7月16日の安保法制の衆議院特別委員会における採決の一幕です(写真①)。
プラカードを持った野党議員が騒然と委員長席を取り囲むなか、カメラ席から見て浜田委員長の背後に位置した柚木議員はプラカードを両手に持ちながら、常軌を逸した大声で「やめろ~」と怒鳴り続けました。
まさに、「注目の人物の近くでカメラに顔を向けて大声を出す」という行動を実施したわけです。
なお、柚木議員にとって唯一の誤算は、望遠レンズの映像があまりにもクリアであったため、カメラを意識して何度もチラ見していたのがモロにバレてしまったことです(写真②)。
柚木議員は2016年11月4日のTPP法案の委員会採決においても、争いの場となっている委員長席など目もくれずに、必死にカメラに向かって大声でアピールしていました。
柚木議員「希望の党の新代表就任挨拶」編
いま見るとおバカすぎる玉木希望の党新代表のスピーチですが、新代表を中心にガンバローコールを行う際に、柚木議員はちゃっかり玉木代表の後方に回ってカメラに映ることになります(写真③)。
「ズームイン!! 朝!」で、ガラス越しにVサインをするギャラリーを想い出します(笑)。
どんな時でも埋没しない積極性だけは見事ですが、そのエネルギーの方向性は国民にとって何の利益にもなりません。
柚木議員「野党合同ヒアリング」編
野党合同ヒアリングにおいて、カメラが左側前方にあることを知っている柚木議員は、司会の議員よりも右側の席に座ります。そして司会の議員が話すたびに、1人そちらの方向を向くという行動を繰り返します。
このとき、司会の議員を捉えたカメラは、同時に柚木議員の顔を正面から捉えることになります。
また、司会の対面には官僚の代表が座っているため、誰かが質問するたびに、カメラは柚木議員の顔をしっかりと映すことになります。さすがに1人だけカメラの方向を向いているので、それだけでも目立ってしまいます(写真④⑤)。
ちなみに柚木議員はカメラをかなり意識していて、必ずと言っていいほど、毎回カメラ目線を観測することができます。柚木議員にとって気になるのは、ヒアリングの内容よりもカメラの位置のようです。
なお、柚木議員は自分よりも左側に座る議員が発言する場合にもその方向に顔を向けますが、自分より右側に座る議員が発言する場合にはけっして顔を向けることはありません。顔がカメラに映らなくなりますからね(笑)。
柚木議員「野党合同院内集会」編
野党はしばしば国会内で会合を開き、政府追及の狼煙を上げます。そんななかで、あまりにも見事なのが柚木議員の立ち位置です。最後の「頑張ろう」コールをあらかじめ予測しているのか、左側後方に存在するカメラに自然に顔を映される抜群の位置にいて自己アピールを行っています(写真⑥)。
後頭部しか見えない他の議員とは一線を画しています。
柚木議員「#MeToo運動」編
柚木議員は、野党の女性議員が展開する#MeToo運動に、男性議員として参加しています。ただでさえ目立つなかで、リーダーの尾辻かな子議員の真横に位置し、常に集団の中心にいました(写真⑦)。
私が問題視したいのは、セクハラ事案を利用してヴィジュアルに訴えるプロパガンダを展開する野党の演出と、その演出を無批判に報じるマスメディアです。
マスメディアの要請に応えてプロパガンダ用の写真を撮らせたり、抗議に参加する議員の行動を事前にリークしてマスメディアに絶好の写真を撮らせたり、事前に財務省に来訪を匂わせて警備員を配置させ、その警備員に阻まれて先に進めない自分たちをマスメディアに撮影させるという演出は、国民を徹底的にバカにしたものです(写真⑧)。
さらに、人間が人間を裁く時には量刑が妥当である根拠を得るために慎重な調査が必要となりますが、野党議員は事案がセクハラであることを根拠に調査を否定するどころか、法律家に調査を依頼した財務省関係者およびその部下を怒鳴り散らし、人格と尊厳を傷つける行為を行っています。
今回の被害者は、次官を断罪するために録音した音声を『週刊新潮』に渡しており、法律家にその録音を提出し、判断を仰ぐことは、正当に次官を断罪する最大のチャンスでもあります。
それにもかかわらず、その被害者が誰であるかも知らない野党・マスメディアが被害者の精神的被害を根拠に録音の提出を拒んでいるのは、極めて不合理な行動であると言えます。
柚木議員は、このような議論の中心にいます。特に問題なのは、麻生大臣の発言を根拠にして、その部下である財務官僚を主観的な価値観で吊るし上げて「セクハラ・パワハラ政権じゃないか!」(2016年4月12日)などと罵声を浴びせていることです。
これは【モラル・ハラスメント mobbing】に他なりません。そもそも国政調査権を行使したヒアリングであるにもかかわらず、省庁に実務的要求を行うこと自体が理不尽であると言えます。
日本国民にとって、大きな不利益
以上のような柚木議員の現在の議員活動に対して、地元の岡山4区の有権者がどのような評価をしているかについては私の知るところではありません。
しかしながら、国会およびその周辺において、常にカメラを意識したなまぐさポーズで安易な説教を繰り返す柚木議員は、日本政治を低俗化して本質的な政策議論を停滞させる元凶となっており、日本国民にとっては大きな不利益を与える存在であるものと考えます。
最後にもう一度、確認しておきます。スキャンダルの追及などで、注目の人物の近くでカメラに顔を向けて大声を出している野党議員がいたら、それは柚木議員の可能性が大きいのではないかと考える次第です。