新型コロナ情報一元化 長崎県内まとめサイト開設 市民グループ運営 支援制度への誘導も

グラフを活用し、分かりやすく情報発信している「新型コロナウイルス感染症対策サイト」長崎版の画面

 ITエンジニア有志らが、新型コロナウイルス感染症に関する県内最新情報をまとめたサイトを開設した。行政の協力を得て、感染者数などの公表データを一元化しグラフにするなど分かりやすく発信しているほか、感染予防方法や資金繰り支援制度など生活経済情報も行政サイトに誘導し紹介している。運営する市民グループが、内容を充実させるために協力者を募っている。
 サイト名は「新型コロナウイルス感染症対策サイト」。陽性の累計人数を▽入院中▽軽中等症▽重症▽死亡▽退院-に分類して表示。患者それぞれの居住市町、年代、性別を一覧表にし、検査実施数の推移を棒グラフで示す。感染が疑われる場合の相談手順をフローチャート(流れ図)で解説している。
 サイトを運営するのはコード・フォー・ナガサキ(横山正人代表)。インターネット上に公開され、誰でも二次利用できる情報「オープンデータ」で地域課題の解決を図る市民グループだ。その一員で昨年、長崎市から東京に移ったIT技術者、菅崎篤史さん(46)が開設を主導した。
 「コード・フォー」と地名を組み合わせた同趣旨のグループは全国にある。このうち一般社団法人コード・フォー・ジャパンが東京都の委託を受け、3月3日に公開した新型コロナ対策サイトが「分かりやすい」と評判になり、全国のグループに広まった。菅崎さんも「長年暮らした長崎のために」と長崎版を作り、3月中旬に公開した。
 同じ頃、南島原市で宅配ネットのクリーニングサービスを手掛ける神崎健輔さん(38)も東京版を基に長崎版を作成。「情報があふれ、どれが正しいか分からない状況は良くない」との思いだった。その後、ITイベントで面識があった菅崎さんのサイトを見つけ、会員制交流サイト(SNS)を通じて合流。文章の修正や情報更新を手伝っている。
 菅崎さんはSNSで連携を呼び掛け、応じた長崎市情報システム課の樋口成一課長(48)が県の協力も取り付けた。県や市は新型コロナ関連情報をその都度発信しているが、これを機にオープンデータ化。長崎版に誤記や不備がないかチェックし、信頼性を高める。国がIT関連情報を提供する「政府CIOポータルサイト」でも紹介されている。
 東京版は拡充し続け、北海道版が協力者を募ると約20人が応じた。長崎版も情報更新の自動化など改善を図っており、イラストレーターや校閲役など幅広く人材を求めている。菅崎さんは「市民に正確な情報が届かないと不安が広がる。困ったら見てもらえるサイトにしたい」と話す。
 同サイトのURLはhttps://nagasaki.stopcovid19.jp/

 


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