STマイクロエレクトロニクス、Industry 4.0の実現に向けた振動検知ソリューションを提供開始

半導体メーカーのSTマイクロエレクトロニクス(以下、ST)は、Industry 4.0による産業の電子化の実現に向けた加速度センサ「IIS3DWB」およびマルチセンサを搭載した評価キット「STEVAL-STWINKT1」を発売した。IIS3DWBは、産業用の振動検出に最適な広帯域33軸MEMS(微小電気機械システム)加速度センサで、機械のメンテナンス時期を推測するための主要パラメータである振動を検出する。既に、IIoT(Industrial IoT)技術のイノベータであるSPM Instrumentのバッテリ駆動ワイヤレス振動センサ「AIRIUS」に採用されている。また、STが産業機器向け製品に適用している10年間の長期製造保証プラグラムの対象である。最大6kHzまでのフラットな周波数応答性と低ノイズを保ち、エリアシング・ノイズを防ぐためのカットオフ特性と減衰性能を備えているため、機械の故障を安定して検出することができる。加えて、低消費電力のため、単体で駆動するセンサ端末の動作時間の最大化に貢献する。さらに、他社製品で必要となる外部での複雑な信号処理が不要で、信号処理・A-Dコンバータ・フィルタ・帯域幅のイコライゼーションなど、即使用可能なデジタル機能を搭載している。一方、STEVAL-STWINKT1は、IIS3DWBに加えて各種センサ、超低消費電力マイクロコントローラ(マイコン)と振動データ処理アルゴリズム、Bluetooth ワイヤレス・モジュール、およびUSBコネクタを搭載しており、試作開発およびテストを簡略化する。バッテリとともにプラスチック・ケースに封止されており、アプリケーション開発をすぐに始められるリファレンス設計だ。また、高速データ・ロギングなどのソフトウェア機能により、機械学習やAIといったアプリケーションへの活用も可能である。さらに、FPU付きArm Cortex-M4プロセッサ搭載の超低消費電力マイコンSTM32L4R9ZI(最大動作周波数:120MHz、Flashメモリ:2048KB)を搭載し、パワー・マネージメントを適正化した。振動解析用の前処理アルゴリズムとして、実効値の移動平均処理およびプログラマブルなFFT(オーバーラップ、平均化、窓関数など)なことも特長の1つだ。同様の製品よりも約1/4以下の価格となっているため、コスト削減にも貢献する。IIS3DWBおよびSTEVAL-STWINKT1を活用することで、状態モニタ・システムの開発を支援する。状態モニタは、設備のメンテナンス時期を推測することで生産性の向上に貢献する。計測した振動データをローカルまたはクラウド上で分析し、メンテナンスの計画に活用することで稼働時間の最大化やメンテナンス・コストの最小化、および予知保全を実現する。なお、IIS3DWBの価格は約9.00ドル、STEVAL-STWINKT1の価格は約99.00ドルである。

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