対州馬の新調教師着任 長野県出身の小口さん

対馬市営目保呂ダム馬事公園の調教師に着任し、対州馬の世話をする小口さん=同公園

 対馬固有種の「対州馬(たいしゅうば)」を飼育し、調教師不在で約1年間、乗馬体験を中止していた長崎県対馬市上県町の市営目保呂(めぼろ)ダム馬事公園に、今月から調教歴約30年の小口(おぐち)幸男さん(54)が着任した。小口さんは「早ければ5月中にも乗馬体験を再開したい」と意気込んでいる。
 同公園によると、対州馬は道産子(どさんこ)(北海道)や木曽馬(きそうま)(長野県)、宮古馬(みやこうま)(沖縄県)などとともに日本在来8馬種の一つ。対州馬は島内で農耕馬として活躍し、明治時代まで4千頭以上いたが、現在では島内で38頭にまで減少。市は昨年、対州馬を市天然記念物にし保存活動を進めている。
 小口さんは長野県諏訪市出身。東京の大学を卒業後、1990年から同県内のポニー牧場で飼育員として働き、93年に全国乗馬俱楽部(くらぶ)振興協会が認定する乗馬指導者資格「ブリティッシュ初級」を取得。2016年4月から今年3月末までは、北海道の帯広畜産大で学生や地域住民への乗馬指導などに当たっていた。
 小口さんは昨年3月、同資格の更新講習を受けた際、対馬市の調教師募集広告を見て対州馬の存在を知った。すでに長野県の木曽馬は純血種が絶えている中、「貴重な日本在来馬を守り、地域住民の関心をもっと高めていきたい」と応募し、採用された。
 採用は今月1日付で、5日にはさっそく同公園で飼育している対州馬「駿太」(雄、4歳)と歩き、号令通り止まらせる調教を実施。小口さんは「物おじせず、人なつっこい馬ばかりでポニーのように子どもでも乗れるのが対州馬。より親しんでもらうため、将来的には地域の子どもの乗馬クラブを作れたら」と話している。

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