メクル第452号 十善会病院 管理栄養士・大下正美さん 正しい食事をアドバイス

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相談者に必要な栄養素や調理の方法などをアドバイスする大下さん=長崎市大黒町、県栄養士会

 私(わたし)たちの体は、毎日の食事からとる栄養でできています。栄養の専門家(せんもんか)である栄養士の中でも、病院や学校、施設(しせつ)などで利用者に合わせた給食の管理をしたり、病気やけがをした人のために医師(いし)と連携(れんけい)して栄養指導(しどう)をしたりするのが「管理栄養士」です。

 ◆一人一人に
 病院で働く管理栄養士の仕事は▽病気を治す▽病状(びょうじょう)を悪化させない▽病気にさせない目的で、入院患者(かんじゃ)や診察(しんさつ)に来る患者、健康診断(しんだん)に来る人それぞれに正しい食事の仕方をアドバイスすることです。

医師や看護師と共に病室を回り、患者の状態を確認する大下さん(左)=十善会病院(同病院提供)

 入院患者にとっては、食事も大事な治療(ちりょう)の一つ。一人一人に栄養管理計画書を作成します。献立(こんだて)を決めるのも大切な仕事で、それぞれの病気や状態(じょうたい)に合わせ、いくつものパターンを考える必要があります。例えば、手術(しゅじゅつ)をしたばかりの人にはおかゆを、飲みこみが難(むずか)しい人には細かく刻(きざ)んでとろみを付けた食事を提(てい)供(きょう)します。他にも、脂肪(しぼう)や塩分、エネルギー、タンパク質(しつ)などを調整した特別食があります。

 ◆自分の目で
 食事を出して終わりではなく、病室を回り、食べている様子も観察します。どのぐらい食べているか、肌(はだ)の色はどうか、食べている場所はベッドの上なのか、もう少しとろみを付けた方がいいのか。自分の目で見ることで、カルテに書かれていない、細かな状態を知ることができます。
 食事がとれずに体が痩(や)せてしまうと、薬の点滴(てんてき)も入らず、治療が進まなくなってしまうので、食べ物の好みはなるべく聞いて、食べやすい献立を考えます。また、退院(たいいん)してからも食事療法が続けられるように、本人や家族に指導をします。

さまざまな専門職が参加し、栄養状態のよくない患者の情報を共有します(同病院提供)

 ◆チーム医療(いりょう)
 管理栄養士は、チーム医療(いりょう)の一員としても注目が高まっています。中心となって活動するのが、栄養状態に問題がある患者のための「栄養サポートチーム(NST)」。当病院では2006年9月に発足しました。栄養療法を効果(こうか)的に行うため、医師や看護師(かんごし)、薬剤師(やくざいし)、言語聴覚士(げんごちょうかくし)、臨床検査技師(りんしょうけんさぎし)らメンバー約15人が、それぞれの立場から提案(ていあん)をします。
 定期的にチームで病室を回り、医師の横で患者の表情(ひょうじょう)や食欲(しょくよく)などを確認(かくにん)します。栄養状態が改善(かいぜん)し、傷の治りが早いなど、治療の成果が見えたときは「自分の仕事が結び付いているんだ」と、とてもやりがいを感じます。担当(たんとう)の患者が無事に退院の日を迎(むか)えたときは、最高の気分です。

 ◆食の楽しさ
 私が仕事を始めた約30年前と比(くら)べ、管理栄養士の仕事内容(ないよう)は大きく変化しました。栄養士室の机(つくえ)にいて、手作業で計算していた献立作りは、パソコンを使うことで省力化され、病棟(びょうとう)にいられる時間が増(ふ)えました。患者はもちろん、その家族や、共に働く医療スタッフ、調理師たちとのコミュニケーションを積極的に図るようにしています。
 もし嫌(きら)いな食べ物がある子がいたら、それをおいしく食べる工夫に気付いて、いろんな料理を楽しんでほしいです。「食べることって楽しいなあ」と思いながら、少しでも栄養のことを考えながら食べると、「健康な体づくりもできる」ことを知ってもらえるとうれしいです。