新型コロナウイルスで、働く主婦の4割が休校に賛成する理由

安倍首相が全国の小中学校、高校等に臨時休校を要請してからというもの、その賛否を巡って様々な意見が飛び交ってきました。

休校要請は日本中に多大な影響を及ぼしましたが、中でも仕事と家庭の両立を希望する“働く主婦”層は、最も大きな影響を受けた層の一つだと思います。

新型コロナウイルスは世界中で猛威を振るい、感染者数は今や150万人をゆうに超えています。著名人の感染者も多数報告され、日本では稀代のコメディアンである志村けんさんが亡くなり、国中が大きな悲しみに包まれました。

新型コロナウイルスの怖さが日増しに伝わるようになるにつれ、安倍首相の休校要請はより重みを持って受け止められるようになったと感じます。


政府の休校要請は「良い判断」が4割

しゅふJOB総研が働く主婦層に、「新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、政府は全国の小中学校、高校等に臨時休校を要請しました。そのことをあなたはどう思いますか」と尋ねたところ、以下の結果となりました。(n=664)

有効回答数664人

3つの選択肢のうち、最も多かったのは「良い判断だと思う」で42.3%。次いで「どちらともいえない」が38.0%。「良い判断だと思わない」は19.7%で「良い判断だと思う」の半分以下です。

「どちらともいえない」と戸惑う声も多いものの、政府の休校要請を評価している人が多くなっています。

一方、フリーコメントには様々な考え方が寄せられました。以下、選択項目ごとに寄せられた声をご紹介します。

「良い判断」だと思う人の声

「狭い空間に何時間も一緒にいる状態はやはり危険だと思う」「子供の中で流行るとあっという間に広がる気がする」「子供を感染から守るため」「数%の可能性でも、流行をおくらせられるならやった方がいい」「薬を開発して貰うまでは感染をしない様に生活を我慢しながらする事も大切な教育」

休校要請の利点の一つは、当然ながら子ども自身の感染を防ぐという点にあると思います。子どもは重症化しづらいという情報もありましたが、逆に活発な子どもが無症状のまま感染すると、あっという間に周囲にも感染させてしまう懸念があります。

一方で、未知のウイルスとの闘いというネガティブな事態も、捉え方次第ではこのような非常事態を耐え忍ぶという、大切な教育機会にできるという見方もあります。

「良い判断」だと思わない人の声

「家庭では学環境を整えることが難しく、子どもが集中できない」「学校以外に集まってしまう」「学力の低下」「母親の負担が増えた」「虐待を受けている子供たちが心配」

子どもがずっと家にいると何かと手がかかり、親としては負担に感じてしまう時もあるはずです。また、子どもの学力や学習環境について心配する声もあります。

そして、ドキッとするのは虐待を受けてしまっている子どものこと。そのような環境に置かれてしまっている子にとっては、学校が救いの場になっていた可能性があります。

一方で、「子どもの症状は軽い」「手洗いやうがいで防げるはず」など、ウイルス感染を楽観視しているように感じる声も見られました。ウイルスに対する認識がまちまちであることが伺えます。

「どちらとも言えない」人の声

「必要でもあるが、こどもの体力低下などが目に見えて感じる」「感染症予防にはいいが仕事をする母親にとってはかなりの負担」「満員電車に乗ってる大人の方が危険だろうに」「コロナが落ち着いてはじめて良いか悪いかがわかる」

休校要請の必要性について理解はできるものの、弊害もある。そんなジレンマを抱えている人も多いようです。

学校が休校となれば生徒たちはその通り従うことになりますが、大人たちへの自粛要請については強制ではないため、どこまで守られるかわからないという声もありました。

未曽有の危機への対処に伴う痛み

仮に手段を選ばずにウイルス感染を徹底して防ぐのであれば、政府がもっと強制力を働かせた方が良いのかもしれません。

一方で、経済活動が停止してしまうことの弊害や法的な限界、個人の意思や尊厳についても考慮する必要があります。

いま直面しているのは、特効薬のないウイルスの蔓延という未曽有の危機です。その対処に用意された正解はありません。人それぞれ様々な意見がある中で、痛みや葛藤を分かち合いながらこの危機を共に乗り越えていくことになります。

あらゆる経済活動が停滞し、肺炎に苦しむ方が増える中で、政府はついに非常事態宣言を出すに至りました。一日も早くウイルスの感染拡大が収束し、この見えざる敵との闘いに終止符が打たれることを切に願います。

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