フェラーリ元会長「最大の後悔はアイルトン・セナと契約しなかったこと」

 フェラーリ元会長のルカ・ディ・モンテゼモロは、約30年にわたる自身のフェラーリでのキャリアのなかで、最も悔いが残っているのは、アイルトン・セナとの契約がかなわなかったことだと語った。

 フェラーリでのモンテゼモロのキャリアはふたつの時代に分かれている。彼は70年代半ばにエンツォ・フェラーリからチームを託され、ニキ・ラウダとともに2度の世界タイトル獲得を達成した。その後90年代初頭に再びチームの指揮をとり、当時のチーム代表ジャン・トッド、テクニカルディレクターのロス・ブラウン、デザイナーのロリー・バーン、そしてミハエル・シューマッハーの面々から成るドリームチームを構築、フェラーリに大成功をもたらした。

 72歳のビジネスマンであるモンテゼモロは優れた功績を持つにもかかわらず、フェラーリで過ごした30年を振り返ってみたときに、ひとつ大きな後悔の念を抱いていると語った。

「アイルトン・セナを(フェラーリに)連れてこなかったことだ」とモンテゼモロは『Sky Italia』に語った。

「彼はイモラでの事故の前にボローニャの私の自宅を訪れ、ウイリアムズから離れて何としてでも私たちとレースをしたいと言ったのだ」

「我々はイモラの後で話し合うことで合意したが、その後何が起きたのかは知ってのとおりだ。彼は我々のところに来たがっていたし、我々も喜んで迎え入れただろう。それが実現していたら、さらなる喜びとなっていただろう」

「その後、ミハエル・シューマッハーがフェラーリの歴史の一員となった時に、特別な喜びをもたらした。彼が成し遂げたことは、他の誰にもできていないのだからね」

■「フェラーリは2008年末にベッテル獲得を検討していた」とモンテゼモロ

 モンテゼモロはまた、現在フェラーリに所属するセバスチャン・ベッテルについて語り、フェラーリは2008年末にレッドブル・レーシングからベッテルを引き抜くことを検討していたが、当時の若いベッテルは『未熟すぎる』と判断したと明かした。

 2007年シーズン後半にトロロッソでF1昇格を果たしたベッテルは、翌年に同チームでフルタイムのシートを獲得した。21歳のベッテルは大きなチャンスを最大限に活用し、モンツァでのイタリアGPではポールポジションからの見事な走りで勝利を飾った。

2008年F1ブラジルGPでのベッテル

 その功績により、フェラーリはベッテルに注目するようになった。当時チームのコンサルタントを務めていたミハエル・シューマッハーは、同じドイツ出身のベッテルが才能あるドライバーであると、チーム上層部に対して主張していたという。しかし当時のフェラーリはベッテルを獲得することなく、2010年にフェルナンド・アロンソを迎え入れることを決定した。

「ベッテルは、シューマッハーがぜひともフェラーリにと望んでいたドライバーだった。当時ベッテルはトロロッソで走っており、レッドブルに昇格する前だった」とモンテゼモロは『Sky Italia』に語った。

「しかし彼はまだ未熟であることが分かり、我々はフェルナンド・アロンソを獲得することを選んだ」

「彼(アロンソ)は、性格的にいくつかの側面があったものの、素晴らしい仕事を成し遂げた。最終レースまでタイトルを争ったシーズンが2回あったのだ」

「ベッテルはプレッシャーを感じやすく、サポートされる必要があるが、行動力がある。彼は何度かミスを犯しているものの、それは彼が大胆であったからでもある。F1では大胆でなければならないと私は考えている」

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