新型コロナで結婚式が延期になって…いさかいが増えてしまった32歳カップルのすれ違い

新型コロナウイルスの影響はとどまるところを知りません。結婚式を挙げるはずだったカップルも、泣く泣く延期せざるをえないようです。そこからいさかいも増えているとか……。


婚姻届は提出したものの

昨年暮れに3年つきあった同い年の彼と婚姻届を提出して同居、この4月に結婚式を予定していたアサコさん(32歳)。

「もともと私は結婚式を挙げるつもりはなかったんです。だけど彼が、『親がどうしても結婚式をしてほしいって。だから頼むよ』と言い出して。そこで質素に式ができるところを検討したんですが、結局は彼の両親が高価なところを見つけてきてしまって。そんなお金があったら新生活のために現金がほしかったんですけどね(笑)」

彼はひとりっ子なので、アサコさんも彼の両親の思いを受け入れ、「イヤイヤながら」結婚式をすることに同意しました。ところが2月ころからこの状況です。とても結婚式は挙げられないだろうとアサコさんは早く彼にキャンセルするよう急かしたといいます。

「だけど彼は見通しが甘くて、4月なら大丈夫なんじゃないのって。結局、3月半ばになってキャンセルしようとしたんですが、『延期ならキャンセル料は不要。中止ならキャンセル料必須』と言われ、しかたなく延期したんです」

数百万円の結婚式代、半額をキャンセル料に支払っても大変な額です。だからそもそも結婚式なんてしなければよかったのよ、とアサコさんは腹立ち紛れに彼に言ってしまいました。

「そこから大げんかになりまして。彼は彼で、『オレはアサコのドレス姿が見たかったんだ』というから、『だったら貸衣装で写真だけでもよかったじゃない』なんてことになった。そもそも、あなたは見通しが甘い、対応が遅い、なんて仕事みたいな言葉を彼にぶつけてしまった。彼はプイと出て行ったきり3日ほど帰ってきませんでした」

ようやく帰ってきた彼がぽつりと言ったそうです。

「オレ、アサコの気の強さについていけないかもしれない」

今は忍耐の時期

ふだんだったら、「じゃあいいよ、別れよう」と言ってしまうアサコさんですが、「ただの恋人同士じゃない、結婚したんだった」と思い直します。

「言い方がキツかったのは謝る。言った内容については謝らないけど、と言いました(笑)。だって彼、本当に何をするにも甘いんですから。新居を決めるときも、もうここで決めようというときになって、『いや、明日、もう少し他を見てみよう』と言い出したんです。私、嫌な予感がしたので電話でこっそりその物件を確保しておいてもらいました。結局、翌日も決まらなくて『やっぱり昨日のところがよかった』というので、すぐに電話して、今のところに決めたんです」

そのときもさんざん、決断が遅いと非難したといいます。3月下旬から彼は仕事がシフト制になり、週に2度ほどの出社、アサコさんは在宅でできる仕事ではないので今まで通りに出社と、ふたりの暮らしにも変化がありました。

「通勤時間が減った分、彼の家事負担が増えるのは当然だと思うんです。ところが彼、在宅日にもあまり家事をしてくれない。私なんかこんな時期に残業続き。ついイラッとして、いったん帰ったあとに近所の定食屋で食事をとることもたびたびです」

彼はひとりでいるのが苦手なタイプだそうで、在宅勤務がストレスになっているようです。一方のアサコさんは、自分が在宅勤務だったらどんなによかったかと思っているので、お互いに相手への羨望が渦巻き、そこからまたバトルになることもあります。

「それでも置かれた状況でがんばっていくしかないと私は気持ちを切り替えたんですが、彼は気持ちの切り替えも遅い。仕事が捗らない上に、家事も今まで以上にやれと言われてパニクってるみたいです」

落ち着いた頃は…

結婚式がいつできるかわからないけれど、それまでこの結婚生活が保つのかとアサコさんは考えるようになっているそう。

「婚姻届を出して新居を構えてしまったので、すぐに離婚はできませんけど、この状態が続けば彼への信頼や敬意もなくなるんじゃないかと不安です。ふたりの気持ちがバラバラになったころ、やっと結婚式ができるようになったら皮肉ですよね」

アサコさんはブラックジョークを吐いて笑っていますが、もしかしたらもっと戦々恐々としているのは彼かもしれません。まだまだ先が見えない状況ですが、個人個人の男女関係にも影響を与えているようです。

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