中立派目黒区議による目黒区長選挙の投票先長考メモ (かいでん和弘・目黒区議ブログ)

東京都・目黒区議のかいでん和弘氏が12日(日)、自身のブログで19日に投開票の目黒区長選の投票先について参考となる情報を紹介しています。自身は「無所属中立派議員」の立場として、それぞれの候補者の経歴や政策を詳しく解説しています。

かいでん氏のブログ全文は以下の通り。

中立派目黒区議による目黒区長選挙の投票先長考メモ

本日、目黒区長選挙が告示されました。
投票日は明日13日(月)から19日(日)までです。
※13日~18日は期日前投票となりますので、投票所が限られております。

詳しくはこちら

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をご覧ください。
目黒区HP『目黒区長選挙 期日前投票』

 

 

まずはじめに強調させてください。コロナ問題に揺れる厳しい局面での選挙となりますが、

【選挙実施は現区長の判断ではありません。】

あくまで、特例法制定(阪神淡路大震災や東日本大震災では首長の任期を延ばす特例法が制定されましたが、今回は実施せず)で選挙の延期を行わなかった、

【国の判断です。】

 

そのため、「こんな状況で選挙をやるなんて許せない」という思いだけで投票をすると、判断を誤る可能性があります。

ぜひそれ以外の条件から投票先を決定していただければと思いますし、仮に候補のなかに、「区長が区長選を強行した」などと発言される方がいらっしゃれば、それは明らかな誤情報ですから、そのような嘘で支持を集めようとする姿勢は非常時の区政を掌るリーダーとしてふさわしくないと、私は思います。

 

ただそうはいっても、現在は到底安心して投票に行ける状況ではありません。区議選前に「若者の投票率を上げたい」と訴えていた私が言うべきではないかもしれませんが、今は命を守ることが何より大事です。

ですから、目黒区としても出来る限りの感染予防策はとっておりますが、「今回は棄権する」という判断も致し方ないと思います。こちら

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に、コロナウイルス対策として区で実施していることが書かれています。ご参考にご一読ください。

目黒区HP『目黒区長選挙における新型コロナウィルス感染症対策』

 

また、今回の件を機に、政治家として時代遅れの「公職選挙法」改正、ネット投票実施へ、本気で取り組む覚悟が改めて固まりました、という決意表明をさせていただき、以下区長選のメモです。

 

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ここからは、【無所属中立派議員】の立場をとる私が、目黒区長選挙でだれに投票しようか、考えている過程のメモを記します。なお、記事の中立性に関して、当然自分の意見を記載しておりますので、記述内容には主観が含まれております。しかし自分自身、まだ誰に投票すべきか悩んでいる最中であるというのが正直なところですので、特定の候補を勝たせるために書いているという意識はありません。

 

一方で私は現在、区議会で現区長のご子息・青木英太議員と同じ会派に所属しています。本人には今回、中立の立場に立つ旨申し上げておりますが、もしその点をもって、中立性に疑義があるとご判断いただいた場合は、ブラウザバックしていただければ幸いです。

 

《候補者》 ※ポスター番号順

候補1 山本ひろこ候補

広島県出身 43歳埼玉大卒→東洋大院公民連携学修士→東工大工学部博士課程(在籍) 外資金融エンジニア出身2015年 目黒区議会議員選挙に初当選(日本維新の会)2019年 目黒区議会議員選挙にトップ当選(立憲民主党)2020年 目黒区長選挙に立候補(立憲民主党・共産党・社民党・生活者ネットワーク推薦)

 

候補2 たぶち正文候補

岡山県出身 61歳東大医学部卒 中目黒消化器クリニック院長2016年 衆院補欠選に京都3区(京都市伏見区等)から立候補し、落選。(無所属)2017年 衆院選に比例東京ブロックで立候補し、落選。(希望の党)2020年 目黒区長選に立候補(日本維新の会公認)

 

候補3 青木英二候補

目黒区出身 65歳
慶応大経済学部卒→目黒区議(2期)→東京都議(2期)
現・目黒区長(4期16年)
2020年 目黒区長選に立候補(自民党・公明党推薦)

 

 

《それぞれの候補について》

 

山本ひろこ候補

維新から立憲へ移り、今回は共産・社民の推薦も受けるという異色の政党変遷をたどっていらっしゃいます。

同じ議員として1年間ご一緒していましたが、所属委員会も異なり、本会議でもご本人の発言を11月25日の1度しか聞いていない(これは大会派で発言の機会がそもそも少ないため)ので、私の主観はあまり参考になりません。

政策はHPにあるとおりですが、それぞれの政策にどのくらい思い入れがあるのか判断するために、目黒区議として活動された過去5年間の議事録(一般質問のみ)を見て、内容を書きだしてみました。

 

・災害時の通信を盤石に(Twitter、LINEの活用、HPの強化)
・デジタルデバイド(ICTを使えない世代)への配慮
・行政手続きのオンライン化を進めるべき
・スマートスクール(教育のICT化)の推進
・マイナンバーカードの周知
・区役所にコールセンター設置による受付時間の拡大
・働く女性の支援
・福祉費削減のために運動の推進を
・病児病後児やベビーシッターの推進
・待機児童問題
・障がい者への選挙啓発
・ランドセル広場の拡充
・教育費負担の提言(教育バウチャー制度)
・公民連携の推進(民間の力を区政に)
・区有施設見直しの遵守(区有施設のスリム化)
・区の固定資産の管理について
・より幅広い層の区民参加

 

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ビラのなかでも、LINEの活用について特に強く触れられていますし、ICT化に関しては議会でかなり多く言及されているので、間違いなく区政のICT化は進めていただけるだろうと期待します。ただ結果的に、今回は3候補ともICTの活用を公約に入れているので、誰が区長になっても進む?という考察はあり得るかもしれません。

また、LINEの導入だけであれば、その気になれば1年もあればできること(今の目黒区はその気になっていないので問題ですが!)ですから、任期4年間の中長期にわたって、どのようなことをしていただけそうか考えるに当たって、

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のような議事録の内容からの考察も一つの手がかりにしていただければと思います。

 

議事録検索は

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から

**会議期間の指定を「平成27年から」に

👉

発言者を「山本ひろこ」にすると閲覧可**

 

 

一点、細かい部分を指摘させていただくと、

 

 

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のビラの3行目、区長が“苛立ちを隠さずに不機嫌な態度で「使っていません」”と答えたとあるのには、ちょっと待った!

私も議場で聞いていましたが、区長が苛立ったのは、質問をしないといけない議会の場で山本候補が所信表明を行ったので、質問の体をなさず、どう答えていいか分からなかった。そこに区長は「質問をしてほしい」と苛立っていたわけです。事実が歪曲されてはいないでしょうか(私はそう感じました)。LINEを使った区政など、共感する政策も多いので、ぜひ政策で戦っていただきたいと思う次第です。

 

《そのときの動画はこちら》

**令和2年第1回定例会

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02月19日本会議

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山本ひろこ議員をクリック**

動画の54分あたりからが該当シーンですが、この機会に一度腰を据えて56分間、山本候補の発言と青木区長の答弁を聞きくらべるのも参考になるかもしれません。

 

 

たぶち正文候補

ビラを拝見していると、区長退職金の全額カット、区長選と区議選の同日選によるコストカットなど、まさに必要だと思う政策も多い反面、

「目黒川船入場を川床に」という話については、悪臭のきつい目黒川で誰が来るだろうと疑問に思う部分も(それなのに川の浄化に関する政策はないので、「…」という感じです)。

 

HPに「100の政策提言」が打ち出されているとのことで見てみると、こちらも共感できる政策も非常に多く、本当に全部できたら、目黒区は変わるだろうなと思うものばかり。

 

でも「あれ?なんか見覚えが」と思ったんです。違和感のタネを調べました。

 

どうやら100の政策のうち90個は、音喜多駿参議院議員が北区長選に出馬した際に打ち出した「北区を良くする218政策」からそのまま(北区を目黒区に変える程度で)引用されているようです。 

 

音喜多議員のブログの中に

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のPDFがあります。

当時私は、区議選立候補直前のタイミングで、「こんなに思いつくのか~」と憧れのまなざしで見ていたので、記憶に残っていたのです。

「北区を良くする218政策」

 

 

これをみると、例えば、たぶち候補の100の政策提言の1番は、音喜多議員の2番と一言一句同じ内容ですね。

 

逆に、たぶち正文候補独自の政策と見受けられるのは、HPの通し番号で言うと、

(23),29,30,(35),36,38,39,76,82,83になります(※)が、

39番の「老人健康施設の待機ゼロを目指します」のようにもっと踏み込んで方法を聞きたいものもあったりします。目黒区の特養待ち800名の方を4年間でゼロにするって、施設をそれだけたくさん建てるということ…?(そもそも老人健康施設ではなく老人保健施設です)

(※) ( )内は類似の項目が音喜多議員の提案にあります。

 

もちろん、たぶち候補は音喜多議員と同じ日本維新の会に所属されていますし、

私も「善政競争」は大賛成、良い政策(実際にまっとうな政策が多いように思います。)を積極的に取り入れていかれる姿勢は心から同意します。(ただし音喜多議員は北区長選時、維新の会ではなくあたらしい党から出ていますから、厳密には維新の政策の引用ではありませんね…)

 

しかしそうはいっても、大半の内容が一言一句まで同じですから、本当に目黒区Ver.として出すにあたって、内容を吟味して出されたのか、自分の言葉ではない政策を言うだけ言って、「大風呂敷」にならないか、不安に思う部分はあります。72番「体育館などの施設について、冷暖房の設置」などはもうすでに実施済みですし。

もちろん、個々の政策自体は共感するものも多いです。後はこれを実現していただく、ということに期待しましょう。

いずれにしても、この独自の10項目こそ、1番たぶち候補ご自身の考えを反映しているのではと思いますので、ビラにまず打ち出されている「5つの政策と覚悟」と合わせて、この10のポイントに特に着目してみるというのも一つの判断材料になるかもしれません。

 

 

青木英二候補

(議会で区長を拝見していての主観

《財政再建》 

2004年、前区長の在職中の自死を受け区長に立候補、当選。就任当時は、660億円の赤字でしたが、2015年に23年ぶりにプラスに転じ、途中リーマンショックの影響を受けつつも、昨年度には292億円ほどの貯金ができるまで立て直しました。

《ICT活用》 ▲

今回のマニフェストに「IT活用」がありますが、少なくとも今までの議員生活1年間で見ている限りでは、区および区長のICTへの姿勢は後ろ向きに感じました。隣の渋谷区が進んでいるから余計そう見えるのでしょうか。区長のTwitterアカウントはなく(昨4月11日より開設)、広報課のアカウントはつぶやきが緩慢、LINEも未導入です。

《目黒川水質浄化》 ▲

酸素溶解水の供給による目黒川水質浄化については、数年前から都と近隣区と一緒に検討を行ってきたことですから、おそらく区長が誰になっても行われることなのだろうと思います(近隣区との関係が壊れてもいいという区長になれば話は別ですが)。

この件に関しては、議会に対しても次のような報告がありましたので、これで急に撤回というのは、誰が区長でもあり得ないのではと思います。

目黒区都市環境委員会(令和元年5月29日)

「平成30年2月に東京都・品川区・世田谷区・目黒区の関係部署で構成し設置いたしました目黒川水質浄化対策評価委員会におきまして、総合的に評価した結果、高濃度酸素水の供給を最善策として取りまとめたところでございます。」

 

👉

こういった既定路線上のマニフェストというのは、現職の選挙にあっては当然のことなのかもしれませんが、今回ビラに書かれている政策の大半は、議会に対してすでに「行う」と報告があったもので、目新しさに欠ける印象を受けました(AI活用、ブロック塀、国有地活用、受動喫煙対策など)。

いえ、逆にそれこそ、「政策の連続性」ということで評価すべき点なのかもしれませんが、もう少し未来へ向けたワクワクするビジョンを打ち出していただきたいなと、若者世代のひとりとして不満足に思うところはあります。

《多選について》 ▲

これまで、4期16年務められてきた青木区長。細川護熙元総理が、熊本県知事を退任する際に言ったという、『権不十年』(権力は十年で腐る」という意味)という言葉にもある通り、だれしも権力の座に長く座り続けると、どうしても緩みや、マンネリが生じてくるのが世の常です。

また、青木区長が初めての区長選に出る際に、ご自身のマニフェストとして「3期12年まで」と掲げていたといいます。今回の5期20年への挑戦という選挙、若かりし日の青木区長の目からはどのように見えたでしょうか。

議会で多選の弊害について問われたとき区長は、

「区が直面する行政課題は、社会状況や時代の変化等により、第1期目から第4期目まで、1期ごとにそれぞれ大きく変化しております。それぞれの課題に真摯に向き合い、さまざまな手法を用いて課題解決に取り組んでまいりました。こうした変化する課題に対し、一つ一つの解決策を講じていく区の施策には、マンネリズムという見方は当たらないと考えております。」

(令和元年第4回定例会 11月25日)

との答弁でした。でも、区が直面する行政課題がその時々で大きく変わることは、いつの時代だって当たり前のこと。この答弁が通るなら、世の中のすべての多選が許されるでしょう。

それぞれの任期中に、状況が変化するということはみんな分かったうえで、それでも一般的に、多選が良くないと言われているのです。あとは有権者の皆様が実際に4年間区政を見てきて、どう判断されるかにお委ねしたいと思います。

 

 

以上、総括ですが、

実は36人の議員からは区議会の場で、本当に創意工夫を凝らした様々なアイデアが出てくるんです。でも、それ採用するかしないかは結局区長の判断次第。

たとえどなたが区長に就任されたとしても、私は一人の議員としてこれからも区政のために頑張る所存ですが、この区長選の持つ影響・意味の大きさを肌で感じているからこそ、しっかりと目黒区のことを考えてくれる方に区長になってほしいのです。

それが誰か、私もこれから3日間くらい、候補の演説などを聴きながら悩み抜こうと思います。(少なくとも、演説を現地に行かなくてもいいように、ネットにあげてくれる候補が良いな…)

 

そして、完全にちぐはぐなことを申し上げること、自分でも自覚しておりますが、くれぐれも今回の投票、まずはご自身の安全を第一にご判断ください。

それでは。

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