タモリがテレビから消える!? 近距離で会話したり、街をブラつく番組は休止か 今こそ復活が待たれるタモリ往年の密室芸!

画像はタモリ『ラジカル・ヒステリー・ツアー』より

4月10日深夜にテレビ朝日系列で放送された「タモリ倶楽部」内で、名物コーナー「空耳アワー」の一時休止が報告されました。同コーナーは92年7月にはじまり30年近い歴史を持っています。年齢問わずファンの多い同コーナーの休止に、ネット上は騒然。「タモリがテレビで見られなくなる日も近い!」とまで極論する書き込みまで見られるほどでした。

空耳アワーの休止を、新型コロナウイルスの影響と見る向きもかなり多いようです。実際にタモリのレギュラー番組については、NHKが政府の緊急事態宣言をうけて「外出を伴うロケ、中継、収録についても(中略)可能な限り見合わせます」と発表。また、4月3日に放送された「ミュージックステーション」(テレビ朝日系)の3時間スペシャルの際にも、心配の声が絶えませんでした。

考えてみると、タモリのレギュラー番組は2014年に終了した「笑っていいとも!」(フジテレビ系)をはじめとして、多くの人と近距離で会話をしたり、タモリ倶楽部やブラタモリのように街へ出たりするものがほとんど。

テレビ番組は多くがそういったものだということは理解しながらも、多くの人からタモリに対する心配の声が多いのは、今年75歳という年齢もあるでしょう。日本人は3月の終わりに、志村けん(享年70)というテレビスターを失いました。同じように昭和から平成、そして令和に至るまで、テレビの中心にいたタモリまで失ってしまっては、心の損失は計り知れません。

タモリはこの30年で「大衆性」を帯びながら世間に浸透していきました。その大衆性が今、ウイルスによって損なわれようとしています。しかし元来、タモリの魅力とは、人と接触せずにたった1人で行う密室芸だったのです。

1977年から立て続けに発売されたレコード「タモリ」「タモリ2」「ラジカル・ヒステリー・ツアー」など、タモリの「ネタ」が収録された音源はかつてマニアの間で高値で取引される伝説的なものでした。それが2000年代に入りCDとして再発されるなどして、今では比較的耳にしやすい環境となっています。

ネタの内容は、架空の外国語である「ハナモゲラ語」で喋る音声や、実際には存在しないけれど、ありそうな力士名や技の名前を連発して相撲中継を模したものなど、「世の中を薄目で見る」ような独特な視点とカルト臭さもある表現が特徴的。さらに、先行シングルの作詞作曲が桑田佳祐だったり、バックの音楽をT-SQUARE(当時のTHE SQUARE)が務めるなど、聞き応えも充分です。

大衆的で好々爺のタレントとしてのタモリしかご存じない方は、自宅時間が長いこの時期に、粘り気の強い「芸人タモリ」に触れてみるのもよいのではないでしょうか。(文◎Mr.tsubaking)

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