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立花佳佑(仮名、裁判当時22歳)が被害者の女性と知り合ったきっかけはゲームのアプリです。ゲーム内で意気投合した2人はラインを交換し直接会うことになりました。その後カラオケや食事に行くなどのデートを2回重ね、3回目のデートの際にはラブホテルに行き性行為に及びました。
これが彼の犯した「犯行」の内容です。
世間にはいくらでもありそうな話です。しかし後日、被害女性は警察に、
「うまいこと言って私とセックスするのが目的だったと思うと絶対に許せない」
と被害を申告し彼は逮捕されてしまいました。罪名は「東京都青少年の健全な育成に関する条例違反」、いわゆる青少年健全育成条例です。被害女性は当時中学1年生でした。
「はじめは16歳と言ってたので16歳だと思ってました。実際に会ってもそのくらいだと思いました」
と彼は裁判で供述していました。16歳でも条例違反なので何の言い訳にもなっていないのですが、被害女性のその言葉を信じていたようです。
「もし通報されなければまた会おうと思っていました」
とも話していました。年齢という問題はあっても、彼は彼なりにちゃんと被害児童と交際をする意思があったことはうかがえます。
そんな彼に対しての検察官の質問は少し意地悪なものだったように思えます。
――相手の子が未成年だとはわかってたんですよね?
「わかってました」
――なんで未成年だとわかってて性行為をしたんですか?
「欲望…です。自分の性欲を満たすためです。犯罪なのはわかってて、もしかしたら逮捕されるかも、とは思ってました」
――相手の子が中学1年生だったと知ってどう思いましたか?
「申し訳ないと思います。母にも怒られました」
――セックスしたかったのかもしれないけど、相手の気持ちは考えた?
「…付き合おうかと思ってました」
――セックスしたかったんだよね? セックスが目的だったんだよね? 相手がそれをわかったらどんな気持ちになるか考えた?
「考えてなかったです」
――妊娠したらどうするつもりだったの?
「責任を取ろうと…。堕ろすっていう金銭面で…」
――法廷に来てどんな気分ですか?
「自分の罪の重さがわかりました…捕まるまでこんな大げさなことになると思ってませんでした」
被害女性は中学1年生という幼さです。16歳だという嘘を信じたにしても、交際をするには少し無理があるように思えます。
しかし被告人である彼もまだ22歳です。裁判官の質問への受け答えではその考え方の幼さが露呈してしまっていました。
――略式から正式裁判の申し立てをしたのは罰金が高いってこと?
「母から『あなた、この罰金払えるわけないでしょ』『少しでも減額できる可能性があるなら裁判を受けなさい』と言われて申し立てしました」
――罰金はどれくらいだと思ってた?
「正直、10万切るくらいかなって…」
――自分で払えなかったらどうするつもり?
「とりあえず親から出してもらって、月々返していきます。労役だとけっこうな期間になるので…バイトがクビになってしまいます」
――今までネットを使って未成年の女性に出会ったことってあるの?
「いや、この時が初めてです」
――未成年じゃない女性とセックスの経験はあった?
「1回だけあります」
母親に叱られて正式裁判を申し立てた被告人を見たのはこの時が初めてです。今後もないかもしれません。ちなみに彼の母親は情状証人として出廷するわけでもなく、傍聴席にもそれらしき人の姿は見当たりませんでした。正式裁判をけしかけるのならせめて傍聴ぐらいはしてほしいものです。
この裁判の判決は罰金50万円。「少しでも減額」という目論見は外れ、略式命令から1円も減りませんでした。
この裁判は捕まってから約4ヶ月後に開かれたものです。この4ヶ月の間で、彼に交際相手ができました。彼が言うにはその女性は未成年ではないそうですが…。1度、きちんと年齢は確かめた方がいいかもしれない気もします。(取材・文◎鈴木孔明)