都会と地方、「結婚相手との出会い方」に地域差はある?

ここ数回の「結婚難民の羅針盤」では、全国平均とエリア別の結婚に関するさまざまなデータを紹介し、読者の皆さんが思い込みにとらわれずに結婚に関する判断ができる情報を提供しました。

今回は、夫婦となった男女の平均的な出会い方について、全国平均とその男女の住むエリア平均との間に差があるのかについて、データとともにみていきたいと思います。

「今の自分をとりまく環境に少しでもあった」出会い方を考えるうえでの参考データになるかもしれません。


恋友人・きょうだいを通しての出会いがトップ

2010年から最新の国の調査年である2015年までに結婚した男女の「運命の人との出会い方」を示したグラフが下のグラフです。

最も多い出会い方は「友人・きょうだい」を通しての30%です。僅差で「職場や仕事」の28%が続き、この2パターンで6割となります。

3位は「学校」の12%となり、10組に1組くらいは学生時代からの関係者同士の結婚、ということになります。

ただ、「学校」に関しては、大きく増加の余地がある数字だと考えています。周囲からは、

・学生時代のお付き合いを「まだまだ出会える」とおろそかにしていたら、社会に出て一気に出会いが難しくなり、婚期が大きく遅れた
・結局、学生時代つきあったあの人が1番良かった…

などという声を聞くことがあります。社会に出てから結婚相手を見つけるのは意外と難しいものです。学生時代の出会いをもっと大切にする人が増えてくれば、「学校」がきっかけの結婚は大きく増加すると思われます。

お見合い結婚と考えられる「見合い」や「結婚相談所」は合わせて6%に過ぎません。つまり、9割以上が恋愛結婚となります。

しかしこちらも、2015年までの成婚者の結果ですので、昨今の婚活への社会の意識の高まりや、お金のかからない真剣なマッチングのために自治体や民間団体が支援に動き出している状況から、次回調査では増加傾向に変わってくる可能性があります。

故郷から離れるデメリット

次に同じデータをエリアの人口数レベル別に見てみたいと思います。

統計上、「人口集中地区」というエリアがあります。人口集中地区とは、

・1平方キロメートルの中に4000人以上が居住する地区(Aとする)
かつ
・Aにあたるエリア同士が隣接して、合計5000人以上
となる地区を指しています。

1.この人口集中地区と非人口集中地区との出会い方の差、
そして、
2.人口集中地区の中でも人口が200万人以上の「大都会」と、平均的な総数での出会い方の差
を計算したものが下の表です。

表からは、都会になるほど、学校での出会いがやや多めになる傾向と、反対に「友人・きょうだい」との出会いが大きく減ることが示されています。

このデータは1996年以降、20代男女の東京一極集中が強まっているという筆者の人口移動分析結果とあわせて読み解くと、地方から都会へ就職で移動した男女にとっては「(旧知の)友人・きょうだい」による出会いが少ないことは当然の結果ともいえます。

また、地方に比べると都会で生まれ育った若者は、就職で遠隔地に移動する割合が少なくなりますので、同級生との結婚は地方よりも多くなる傾向がありそうです。

都会も「若い人が多いから出会いは安心」とはいえない

都会は若い人が多いから出会いの場はいっぱいあるだろう、だから結婚の支援は無用なのでは、といった声も聞きます。

しかし、全国的に見て最も多い「運命の人との出会い方」(「友人・きょうだい」を介した出会い)に関しては、どうやら大都会であるほど、かなり不利であるようです。

50歳で婚歴がない人の割合である生涯未婚率は、東京都が男女とも上位3位に入る(女性は1位)状況となっています。

結婚という形をとる・とらないは別としても、データからは、友人やきょうだいの支えの少ない都会の若者の姿が見え隠れしているのではないか、筆者はそんな気がするのですが、いかがでしょうか。

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