新型コロナ禍は野球居酒屋も直撃… 松坂らお宝グッズ並ぶ名店休業「ダメージ大きかった」

野球居酒屋「居酒野 ベストナイン」には多数のお宝グッズが飾られている【写真提供:荻巣幹典】

愛知・名古屋市の「居酒野 ベストナイン」が新型コロナウイルスの打撃を受けて完全休業

 愛知・名古屋市内の野球居酒屋「居酒野 ベストナイン」が新型コロナウイルスの影響を受け、完全休業することになった。名門・東邦高、東北福祉大野球部出身で、オーナーの荻巣幹典さんは電話取材に応じ、「新型コロナのダメージは大きかったです。プロ野球が延期になって、甲子園も中止。飲食店だけではないと思いますけど、まさかこんなことになるとは思わなかった」と肩を落とした。

 野球ファンをターゲットとした「ベストナイン」は、名古屋有数の繁華街である錦3丁目に昨年8月9日にオープンしたばかりだった。鳥の手羽先、どて煮といった食事メニューをスターター、リリーバー、クローザーなど5種類にカテゴリー分け。7台の巨大テレビで野球中継が流される店内にはプロ野球選手のサインだけでなく、高校野球、社会人野球の強豪チームのユニホーム、中日時代の松坂大輔投手のサイン入りユニホームやグローブなどのお宝グッズも飾られ、食事以外でも楽しめる居酒屋だった。

 しかし、新型コロナウイルスの感染拡大で大打撃を被り、2月中旬から経営は徐々に厳しくなっていったという。荻巣オーナーは「2月中旬からちょっとずつ予約が減ってきて、3月は送別会などの大きな予約が全てキャンセル。3月は特に厳しかったですね。家賃の高い錦でキャパが大きいところでやらせてもらってので、ダメージは大きかったです」と話した。

 大野雄大投手、高橋周平内野手ら中日の主力選手がテレビの収録もあって来店したり、林昌範氏ら野球解説者や多くの球界関係者が訪れていた。愛知県独自で緊急事態宣言が出された翌11日から休業に。荻巣オーナーは「今年は東京五輪もある予定でしたし、来年はWBC。スポーツイベントが続く中で『どれぐらい頑張れるか』と思っていたんですけど、厳しかったですね」と落胆した様子だった。

 今後は場所の移転を含めて検討しているという。「当面は休業になります。なんとか再開へ向けて準備を進めていきたいと思いますが、お金の工面も大変。従業員の給料も払わないといけないですし……」と荻巣オーナー。先の見えない状況に頭を悩ませている。(小谷真弥 / Masaya Kotani)

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