佐世保市に手作りマスク100枚 九文高の山口さん きょうから妊婦に配布

山口さんから佐世保市に寄贈された妊婦向けの手作り布マスク=市中央保健福祉センター

 妊婦が新型コロナウイルスに感染しないよう、長崎県佐世保市の九州文化学園高3年山口茉紀さん(17)が、手作りの布マスク100枚を市に寄贈した。マスク不足が深刻な状況の中、感染予防対策に追われる市担当者は「温かい気持ちになった。本当にありがたい」。母子健康手帳交付日の16日から来庁した妊婦に渡す。
 マスク作りのきっかけは、3月中旬に自宅近くで目撃したバイクの転倒事故だった。看護師を目指す山口さんは、意識不明となった運転手の男性に声を掛けるなどの救護措置をして救急車に引き継いだ。男性は一命を取り留めたという。
 山口さんは新型コロナの感染が広がる状況についても「何かできることはないか」と考えるようになった。マスク不足を不安に感じている妊婦が多いとニュースで知り、母親や祖母と一緒に作り始めた。
 山口さんは13日に1人で市役所を訪問。マスク作りへの思いをつづった手紙を添え、完成した布マスクを担当者に手渡した。市子ども未来部の渡辺恵美部長は「多くの人が困っていると想像はできても、なかなか行動につながらない。ハードルを飛び越える力に感激した」。山口さんは「マスクの材料も品不足で、たくさん用意できなかった。少しでも役に立てればうれしい」と話している。


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