コロナ影響で一時休館 長崎のコクラヤギャラリー

展示スペースとして開放する1階入り口のショーウインドー=長崎市、めがねのコクラヤ万屋店

 プロの美術家から愛好者まで市民の作品発表の場として長年親しまれている長崎市万屋町のコクラヤギャラリーが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、17日から5月末まで一時休館する。同ギャラリーを管理運営する「めがねのコクラヤ万屋店」のブロック長、里ゆたかさん(61)は「市民の安全を考えれば仕方がないが、正直複雑な思い。早く再開できることを願いたい」と切実な思いを語った。
 同ギャラリーは、長崎でコクラヤを開業した相談役の高浪藤夫さん(87)が、1960年に同市の中通りにあった店舗の待合室に地元俳人の作品を展示したのが始まり。その後、ギャラリーは鍛冶屋町に移転し、75年から現在の万屋店の4階で多くの人たちに美術の空間を無料で提供。文化活動の普及に一役買ってきた。現在は3、4階をギャラリーとして開放し、年間計約50の展覧会が開かれている。
 だが、今年は新型コロナウイルスの影響で、3、4月の展覧会が次々にキャンセル。市民から感染防止に対する運営などについて問い合わせが多く入るようになったという。さらに最近は6、7月の予約の取り消しも出ており、国の緊急事態宣言や長崎市の主要観光施設の臨時閉鎖など世の中の状況も考慮。一時休館を決断した。
 里さんは「ギャラリーの開設以降、経験したことのない厳しい状況。先が見えず、6月以降の開館もどうなるか分からない」と困惑している。
 コクラヤとしては、「皆さんに盛り上げてもらった空間。どうにかして表現を続けたい」との思いから、万屋店1階入り口にあるショーウインドー三つを展示スペースとして開放する。うち一つは8年ほど前から「一点ギャラリー」として、高浪さんが所蔵する絵画などを展示している。
 コクラヤは、展覧会が中止になった団体や個人を中心にショーウインドーでの作品展示を受け付ける。問い合わせは万屋店(電095.825.2600)。

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