地元で団体日本一を 強い決意を胸に なぎなた松浦高 小場菜々美 信じて前へ 高校のエースたち・6

「冷静さを失わないなぎなた」を目指して練習に励む小場=松浦市、松浦高体育館

 全国21府県で分散開催される今夏の全国高校総合体育大会(インターハイ)。長崎県でも松浦市でなぎなたが行われる。「地元で団体日本一」。松浦高の主力で3年生の小場菜々美は、強い決意を胸に腕を磨いている。
 田平中時代は卓球部。引退後、当時の担任から「松浦に行くなら、なぎなたをやってみたら」と勧められた。元々「松浦と言えばなぎなた」というイメージはあった。オープンスクールで初めて体験して、入学後、先輩たちが音楽に合わせて披露した“リズムなぎなた”が「かっこよくて」入部を決めた。
 新2、3年生部員9人は全員、高校から競技を始めた初心者。板垣勇監督の熱心な指導の下、地道に成長してきた。昨夏の南部九州インターハイで3位入賞した先輩たちの実績は重圧でもあるが、それも力に変えて「自分たちも」と燃えている。
 おとなしい性格で、周りを引っ張るタイプではない。でも、防具をつければ「攻め抜いて手数で負けない」松浦スタイルを体現する。ダイナミックに踏み込むメンが得意で、160センチの身長以上に広い間合いを生かして試合を運べる。コテとスネを含めて多彩な技術も身に付け、相手に的を絞らせなくなってきた。
 小場をはじめ、今季の選手たちを、板垣監督は「チーム全体のレベルは私が教えてきた中で一番」と評する。昨季の団体メンバーこそいないが、試合形式の練習では毎回勝者が変わるなど、激しい部内競争を続けて力を養ってきた。
 それを見せるはずだった3月の全国選抜大会が新型コロナウイルス感染拡大を受けて中止に。実戦経験を積む絶好の機会でもあっただけに残念だったが、その分、新たに積めた練習もあった。
 2.25メートルのなぎなたをしっかり振れるようにするための体幹トレーニングに加え、普段重視している試合種目だけではなく、2人一組の演技種目の練習にも注力。結果、なぎなたの動きの奥深さを学び、有効打突につながるイメージを深めることができた。
 春の全国舞台を失ったのは、どこも同じ。だからもう、最大の目標である夏に思いをぶつけるしかない。「大会まであと4カ月。地元の声援が響く会場で、どんな場面でも冷静さを失わないなぎなたができるようにしたい」。“なぎなたの町”で新たな歴史を刻むべく、仲間たちと切磋琢磨(せっさたくま)し続ける。

 


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