日本へも入れず母国へも帰れず羽田空港で寝泊まりを強いられている外国人たちがいた! さらに帰国してからも14日間の隔離が待っている

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「こんにちはみなさん。私はアメリカへの交換留学生の16歳です。今、日本の羽田空港から出られなくなっています」

4月7日にタイ人の女の子がフェイスブックに投稿したこんな悲痛な声がタイで報じられました。このナッチャーさんはトランジットのため到着した羽田空港から先の便が新型コロナウイルスの影響で欠航したことで何日も空港内で寝泊まりしているというのです。

アメリカでの交換留学期間は6月まででしたが、新型コロナウイルスの影響で切り上げて帰国せざるを得なくなり、4月2日に羽田経由でバンコクへ帰る航空券を手に交換留学生仲間と5人でアメリカを出発しました。

3日夜、羽田空港に到着したところで予想もしなかった出来事に遭遇しました。この日タイが4日午前0時から6日までタイに向けた航空機の飛行を禁止する措置を発表したことを知らされたのです。

もちろん搭乗予定だった羽田発バンコク行きの便は欠航に。7日の便に変更されてしまいました。日本はタイに対する観光ビザ免除措置で3月28日から停止しているため、日本入国もできず4日間羽田空港内で寝泊まりをせざるを得なくなってしまいました。

しかし4日朝には在京タイ大使館職員が駆け付けてマスク、ハンドジェル、アルコール、ゴーグルなどの支援物資を届け、さらに航空会社からもブランケットの貸し出しを受けることができました。

4晩を空港内の出発ゲート前の椅子で過ごしたナッチャーさんは「椅子で寝るのは体が痛いし良く寝られません。丈夫な体でもウイルスに感染するかもしれません」と不安な気持ちを訴えていました。その間に同じようにトランジットで羽田に到着して足止めされたタイ人が増え、高齢者から子供まで32人に達していました。

苦難はまだ終わりません。タイは6日になってタイに向けた航空機の飛行禁止措置をさらに18日まで延長すると発表したのです。

「みなさん、タイ人同士どうか可哀そうに思って助けてください。私達はまだこの空港で足止めされています」

国際便が軒並み欠航となり、空港内のショップやレストランも営業休止が目立ち始める中、ナッチャーさんはこう助けを求める声を上げていました。

さらに11日間も空港内で寝泊まりさせるわけにいかないことから、タイ外務省と在京タイ大使館が動きました。羽田空港に取り残された32人に加え、日本国内でタイへ帰国できずにいたタイ人も含めて、チャーターした全日空機で全員をタイに帰国させたのです。

8日15時半にバンコクへ到着したナッチャーさんもようやく一安心、とはまだいきませんでした。タイは海外から到着した人に対して国の手配した施設で14日間の隔離を義務付けているからです。

今頃ナッチャーさんは施設で隔離生活を送っていることでしょう。今月末にはウイルス検査を受けたのち、無事に家に帰れることと思われます。

なおタイに向けた航空機の飛行禁止措置は15日になってさらに30日まで延長されました。(取材・文◎赤熊賢)

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