コロナ禍で飲食業界が悲鳴を上げている中 無料テイクアウトの酒場を発見! その驚愕のシステムとは?

テイクアウトは客が持参したタッパーに天野さんが調理したての料理を盛りつけます。

「定食酒場食堂の奇跡」第二楽章が始まりました。

行列ができるランチ288円定食、夜はジンギスカンお任せコース料理と飲み放題で3000円等、驚愕のコスパの定食酒場食堂(東京都新宿区)がなんと無料のテイクアウトを始めたのです。

緊急事態宣言が出され、飲食店が20時には閉店するように自粛要請された中、店主の天野雅博さんはSNSで告知なさいました。

【定食酒場食堂では、夜7時〜8時の間に、おにぎりや、お惣菜、おかずを、ご用意しますから、どうぞ取りに来て下さい。容器は、持参でお願いします。気になるお値段ですが、無料です】

貸切飲み会等を頻繁に主催していたイベント業者もコロナ禍で仕事がなくなり、UberEATSのアルバイトで生計を立てているという中、タッパー持参で定食酒場食堂に立ち寄っていました。都営地下鉄新宿線曙橋駅そばの裏路地にあるにもかかわらず、一階席がゆったりと埋まっているのは、驚異的です。予約二ヶ月待ちの赤坂の人気店でも一日の来店が1組平均という時期に。天野さんの料理をテイクアウトするために、タッパー持参で立ち寄る会社帰りの新入社員の姿もありました。

そこまで魅了する定食酒場食堂の味について、男の手料理に詳しい俳優の久我未来さんに分析して頂きました。久我さんは、『鳥人戦隊ジェットマン』『3年B組金八先生』『GTO』『バトル・ロワイアルII 鎮魂歌』等、多くの有名作品に出演し、男の手料理を長年堪能していらっしゃる方です。

この日のお任せ料理の『豚バラとキャベツの炒め物』ひとつをとっても天野雅博さんの料理は深いようです。

「この豚バラ。脂、美味しいですよね。これは、外食ならではの強烈な旨味かと。とぅるんってした感触、これ、片栗粉だと思います。豚肉の旨味を逃がさないためですよね。青椒肉絲や回鍋肉とかと同様、下ごしらえを怠っていないってこと。たかが、一手間、されど、一手間。もし彼が雑な仕事をしたとしても、この店ならお客様は来ますよ。でも、それでも彼は片栗粉をまぶした。甘えていない。『この店のシステムで、この状況でやるか!?』って店が好きなんですよ、僕は。

友人の料理人いわく、『まぶすかどうかで味が大きく変わるよ。その方は、それを怠らなかったんじゃないかな。習慣としてやるよ、料理人は』とのことです。なるほど。安いだけじゃない。心遣いが在るんですよ。この日のテイクアウトメニューのバター醤油で握られたオニギリは、優しい味でしたよね。“両手で握りました”って、形。パクつく前に思わず眺めてしまい、ほっこりしてしまいました」 (久我未来さん)

コロナ禍で売上が激減しても無料テイクアウトで生き残りをかける定食酒場食堂。

「コロナ禍で営業時間も短縮し、来客も減って余った食材を無駄にしないロスカットの精神素晴らしいです。無料テイクアウトの形で有効活用している天野雅博さんはアイデアマン。もともと食べ残し禁止の店ですから」(常連客)

その臨機応変な対応に異業種の方々も学ぶことが多いようです。(文・写真◎霜月潤一朗)

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