新幹線長崎ルート 武雄温泉、嬉野温泉 駅舎工事進む

在来線駅に隣接して新幹線の駅舎工事が進む武雄温泉駅。手前が対面乗り換えホームを整備する新幹線駅。奥が在来線駅=武雄市(写真・上) 建設中の嬉野温泉駅。「和」をイメージした屋根が特徴。奥は温泉街=嬉野市(写真・下)

 九州新幹線長崎ルートは2022年度に武雄温泉-長崎がフル規格で完成し、博多まで特急を乗り継ぐリレー方式で暫定開業する。佐賀県の沿線ではどう準備が進んでいるのか。新幹線と特急の対面乗り換えホームが整備される武雄温泉駅と新しくできる嬉野温泉駅(仮称)の工事現場を訪ね、武雄、嬉野両市長に開業への期待と町づくりについて聞いた。

 3月下旬、JR佐世保線が走る武雄温泉駅。隣接する新幹線駅の高架橋上で、上屋の鉄骨を組み立てるクレーン作業が進んでいた。
 鉄道建設・運輸施設整備支援機構によると、駅舎の工事は昨年4月に始まり、進捗(しんちょく)は3割弱。1階は延べ床面積1700平方メートルで、改札口や駅務室、待合室、コンコースを設け、2階に6両編成の新幹線が乗り入れるホーム2面2線を整備する。来年8月に完成予定という。
 工事担当者の案内で現場に入ると、1階は在来線の駅とつながっていなかったが、2階のホームはつながっていた。「新幹線がホームに滑り込んで来ると、扉を開けた特急が隣のホームで待っています」。担当者はこう説明してくれた。

暫定開業時の九州新幹線長崎ルート

 新幹線と特急の同一ホームでの乗り換えは2004年3月、九州新幹線鹿児島ルートの部分開業時に採用され、新八代駅で全線開業まで7年間続いた。乗り換え時間は約3分。武雄温泉駅の対面乗り換え用ホームは長さ180メートル、幅約10メートルで、改札はない。在来線を乗り換える感覚だという。
 一方、南西に約11キロ。鉄道が初めて通る嬉野温泉駅に足を運ぶと、「和」の雰囲気が漂う駅舎の建設が進んでいた。
 同機構によると、駅舎の特徴は温泉宿をイメージした三角の屋根。東口と西口を設け、1階は延べ床面積1600平方メートル。改札口や駅務室、待合室、コンコースを整備する。来年7月の完成を目指し、工事の進捗は約6割だという。
 2面2線の高架ホーム(長さ160メートル)に上がると、駅は緩やかな曲線区間にあるため、軌道が傾斜しており、カーブの外側のホームが高くなっていた。武雄温泉駅に比べ、上屋の建設や軌道の敷設が進んでいる。線路には新幹線に電気を供給する電車線の柱も立ち並んでおり、長崎駅まで新幹線が通う日はそう遠くないことを感じさせた。
 駅舎が完成すると、地上設備の構造、防災、衛生面の安全を確認した後、実車を走らせて信号や無線などを検査。JR九州に引き継いで訓練運転を経て開業を迎えるという。


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