「医療従事者は本当にヒーロー」 フィギュアスケーターが“陸上”で魅せた使命感とメッセージ

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新型コロナウイルスの影響で、世界中のスポーツイベントが中止・延期を余儀なくされている。フィギュアスケートも例外ではなく、3月に予定されていた世界選手権が中止となった。だがそんな中、ジェイソン・ブラウン、グレイシー・ゴールドが司会となって、日本時間4月18日朝、オンラインでのチャリティーイベント“Blades for The Brave”が配信された。アメリカ、カナダ、ロシア、イタリア、そして日本……、世界中のトップスケーターたちが“陸上”で魅せた姿は、氷上と変わることなく人々を楽しませるものだった――。

(文=沢田聡子、写真=Getty Images)

“陸上”からもエンターテインメント精神を見せたスケーターたち

世界のフィギュアスケーターが国境を越え、新型コロナウイルスと闘う医療従事者、そしてファンにエールを送った。

日本時間4月18日午前9時過ぎに配信された “Blades for The Brave(勇者のブレード)”は、新型コロナウイルス禍救済のためのライブストリームイベントだ。五輪や世界選手権に出場したフィギュアスケーターたちが出演し、視聴者にアメリカの医療支援機関AmericaresのCOVID-19支援基金への寄付を呼びかけた。寄付金は新型コロナウイルスの治療にあたる世界の医療従事者が使う防護服や医療用マスク、手袋の購入に充てられる。

世界を覆っている深刻なコロナ禍に立ち向かうためのイベントだったが、全体のトーンは明るく楽しいものだった。世界選手権というシーズン最後にして最大の競技会が中止を余儀なくされ、アイスショーもいつ開催されるか見通せない中で、フィギュアスケートに飢えているファンにとっては癒やされるひとときだったのではないだろうか。

司会を務めたのは、共に2014年ソチ五輪でアメリカ代表として団体銅メダル獲得に貢献したグレイシー・ゴールドとジェイソン・ブラウンだった。

「今少しでも医療従事者の方々をサポートしたいと思ったので、このイベントに参加しようと思いました。彼らは、今本当にヒーローです」(ブラウンのコメント/テレビ朝日 フィギュアスケート公式Twitterより)

ゴールドは母が看護師として働いており、またブラウンの父は新型コロナウイルス感染を防ぐための防護具を医療従事者に寄付したという。まるでプロの司会者のように軽妙なやり取りを交わしていた二人が、時折新型コロナウイルスとの闘いに貢献したいという使命感がにじむ表情を見せていたのが印象的だった。

世界各国でリンクも閉鎖されており、自らも不安な状況下にあるスケーターたちだが、陸の上でもエンターテインメント精神を発揮してくれた。中でも、特に苦しい状況にあることが伝えられてきた国の現役スケーター、マッテオ・リッツォ(イタリア)やブレイディ・テネル(アメリカ)が顔を見せてくれたことがうれしかった。

レジェンドとなっているスケーターも、それぞれのやり方で参加。オープニングで登場してメッセージを届けたジョニー・ウィアー(アメリカ)は、黒と金の衣装で滑るショーナンバーの動画も披露。アレクセイ・ヤグディン(ロシア)は、室内でのコミカルなエクササイズを見せた。また、ミシェル・クワン(アメリカ)は優雅なローラーブレードの演技を駐車場で、カート・ブラウニング(カナダ)もローラーブレードでの超絶技巧のステップを道路で披露した。

日本からも4人のメダリストが出演。いま一度、私たちができることを考えたい

日本からは、佐藤有香、荒川静香、村主章枝、安藤美姫が出演した。
佐藤有香は「世界中の皆さまの安全と、一日でも早い復興をお祈りいたしております」とコメント。動画では、手に持った布を翻しながら滑らかに滑っていた。

荒川静香は、フラフープや縄跳びをする姿を見せた後、「今できること、今だからできることを頑張ってやっていきましょう。どんな状況でも“Stay positive”。また皆さんと笑顔でお会いできる日を楽しみにしています」とコメントした。

現在ラスベガスに拠点を置く村主章枝は「日本だけではなく、今世界では多くの方々が戦っています。皆さん苦しい時期を過ごしていますが、このように集まり、お互いを励まし合うことでつながれば、どんな困難も乗り越えられると思います」と話した。村主自身のTwitterによれば「気持ちが上がるような明るいローラーブレードの映像を提供してほしいと依頼を頂き、私でもできることがあるなら……とお受けいたしました」とのことで、街中をローラーブレードで滑走する姿を見せてくれた。

安藤美姫は、小さな後ろ姿を見せて歌う娘の歌声を披露。また、特別な時に滑るという『アメイジング・グレイス』を自らの歌に乗って滑るビデオは、イベントの最後を飾る演技となった。
「今世界中がこのような大変な状況の中、少しでも皆さんの心に残りますように、私と娘からも、歌と以前に滑ったスケートでメッセージを送りたいと思います。ぜひ、このビデオを見て少しでも笑顔になれますように。そして、同じ空の下、頑張りましょう」(安藤)

氷に乗れないことがスケーターにもたらすマイナスの影響の大きさは、想像を絶する。しかし、室内でのエクササイズや陸上での演技、路上でのローラーブレードで楽しませてくれたスケーターたちは、状況をプラスに捉える能力が高いことをあらためて示してくれた。

また、人々を楽しませるスケーターの力は、カメラ越しでも遺憾なく発揮されていた。試合やイベントが次々と中止や延期になっている状況下でも、やはりスポーツは精神的なエネルギーを与えてくれること、特に鑑賞するスポーツでもあるフィギュアスケートの魅力を再確認させてくれるイベントだったといえる。

このイベント以外にも、羽生結弦や宇野昌磨といった日本のトップスケーターたちも、それぞれのやり方でコロナ禍に向き合うファンへのメッセージを発信している。少しでも早く氷上のスケーターたちと会えるよう、彼らの与えてくれるパワーを受けた私たちも、一人ひとりができることから始めていきたい。

※Americaresへの募金ができる公式サイトURL

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